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ピンク色のクラウンでも覆い隠せない、トヨタが抱えるブランド戦略上の苦悩

 

 トヨタが昨年12月に発表したピンク色の新型クラウンが話題となっている。堅物のイメージが強かったトヨタがこのような斬新なデザインの商品を投入してきたことは、トヨタが変わりつつあることの象徴と評価されている。
 だが新型クラウンの商品ラインナップをよく見ると、トヨタの前向きな変革というよりも、新しいコンセプトを打ち出せないトヨタの苦悩が滲み出ているという方が現実的だ。

 トヨタは戦後日本の企業社会とともに成長してきた会社といえる。トヨタの商品ラインナップは、日本企業の年功序列と終身雇用制度に密接に関連していたことで知られている。
 トヨタの車は基本的にサラリーマン層を主なターゲットとしており、会社での昇進と車のランクを一致させていた。係長→課長→部長という昇進コースと同じように、カローラ→コロナ→マークⅡという乗り換えコースを提案していたのである。この昇進コースの最終ポジションとなる商品がクラウンであった。

 だが90年代以降、起業家や外資系企業のビジネスマンなど、日本の古い企業社会の枠にあてはまらない新しいリッチ層が登場してきた。このようなニュー・リッチにターゲットを絞ったのが現在の最高級ブランドであるレクサスだ。
 レクサスのブランドは大成功を収めたが、その反動はクラウンやマークⅡといった既存ブランドにシワ寄せされた。終身雇用をはじめとする日本型企業社会が崩壊しつつあり、それに依存した既存ブランド車種の位置付けが不透明になってしまったのである。

 今回のクラウンのモデルチェンジはこの動きに対応したものと考えられている。だが新型のクラウンにおいて新しいコンセプトが打ち出されたのかというとそうではない。ハイブリッドモデルのエンジンが6気筒から4気筒に変更になるなど、事実上、クラウンを格下げしただけの形となっている。結局、どのような購買層を想定しているのは不透明なままだ。
 ピンク色といった奇抜な色の高級車を購入するのは、一般的にかなりの富裕層である。大衆車の最上位モデルとなってしまったクラウンにピンク色の車種を投入しても、それはクラウンの顧客層にはマッチしない(自動車ジャーナリスト)という手厳しい意見もある。

 ピンクのクラウンは話題作りが目的であり、それ自体の販売台数はトヨタもほとんど気にしていないだろう。だが、事実上の格下げとなったクラウンからは、足元の業績は好調だが、長期の戦略を描けずにいるトヨタの苦悩が垣間見えるようだ。

 - 経済

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