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原子力規制委員会が明らかにした再稼動審査の方針。事故防止の観点がまったく欠如

 

 原子力規制委員会が打ち出した、7月以降に開始する原発の再稼動審査の内容について疑問の声が上がっている。

 原子力規制委員会では、7月以降、東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR)の原子炉について、順次再稼動に関する審査を開始する。その際、放射性物質を除去できるフィルター付きベント(排気)装置の設置と原子炉の冷却作業を遠隔操作できる「第2制御室」の義務化などを検討していることを明らかにした。

 だがこれらの内容は福島原発の事故の教訓がまったく生かされておらず、本末転倒な内容となっており、疑問の声が多数上がっている。
 規制委員会が提示した義務化措置はどれも、事故が起こってからの処置をスムーズにするためのものであり、事故を未然に防ぐためのものではない。
 事故を根本的に防ぐためには、途方もないコストが必要であることから、規制委員会は最初からその選択肢を放棄している可能性がある。解釈の仕方によっては、原子力規制委員会は、同様の事故がもう一度発生することをすでに想定しており、その際に被害をもう少し小さくしようと考えているということにもなりかねない内容だ。

 そもそもベントとは、原子炉が圧力増加で破壊されてしまうのを防ぐために、有害な放射性物質をあえて外に出すという非常措置である。ベントを使うような事態は最終手段なのである。また放射性物質には気体のものもあり、フィルターをつけたところで完全に除去できるわけではない。

 一方で、稼働中の関西電力大飯原発のような加圧水型(PWR)は、格納容器が大きくベント装置の必要性は低いとし、一定の猶予期間を設ける方向だ。だが米国で事故を起こし大量の放射性物質を外部に放出したスリーマイル原発はPWR型であることを考えると、あまり説得力のある話にはならない。

 今回の福島原発の事故によって、国内では反原発の機運が高まっている。だが国民の中には、安全性が確立されるのであれば原発の利用もやむを得ないという意見の人もまだ多い。だが当の規制委員会からこのような内容の方針が提示されてしまうと、消極的支持者の人たちまで敵に回してしまう可能性がある。
 規制委員会が提示する内容のあまりのひどさに「実は規制委員会は反原発団体で、わざと原発支持者を的に回すような発言をしているのではないか?」(科学ジャーナリスト)というブラックジョークまで語られる始末である。日本の行政機構は完全にその機能を喪失してしまっているようである。

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