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桜宮高校の入試中止問題。日本社会の論理性のなさが浮き彫りに

 

 大阪市立桜宮高校の男子生徒が体罰を受けた後に自殺した問題で、大阪市の橋下市長は2月に実施する予定の同校体育科入試の中止を求め、教育委員会はこれを受け入れた。最終的な決定権は教育委員会にあるものの、入試を強硬する場合には、橋下市長は予算執行権を行使しないと明言しており、教育委員会が拒否するのは難しい情勢だった。

 ただ橋下氏の方針に対して当初教育委員会は「直前の入試中止は受験生に混乱を招く」という意味不明の理由で反対の姿勢をとっていた。
 また一部のメディアからは橋下氏の方針を激しく批判する声も上がっていた。同校の入試をめぐる一連の議論は日本社会における論理性のなさをあらためて浮き彫りにした格好となっている。

 入試の中止を求める橋下氏の方針が本当に正しいのかは誰にも分からない。だが少なくとも橋下氏の論理は一貫している。
 橋下氏の理解では、体罰をうけて自殺する生徒が出たのは、体罰を行った教師個人の問題ではなく、体罰を容認する風潮、教師の暴走を止められず隠蔽工作を行う学校側の体制など、構造的な要因であるというものだ。構造的な問題が原因なのであれば、それを改善するには体制を一新する以外に方法はない。混乱を招くから中止できないというのは論点が完全にズレている。

 もちろん中止の方針に反対する意見があってもいい。もし橋下市長の方針に反対であれば、体罰容認の風潮や隠蔽工作がすべて個人の責任であるということを立証し、責任のある人物を具体的に列挙して処罰を促せばそれで解決できる問題だ。
 だが入試の中止に反対している人から出てくるのは「生徒の夢を奪う」「生徒は無実」といった情緒的なものばかりで、責任の所在をはっきりさせる声はまったく聞かれない。

 本誌は橋下氏の方針を必ずしも支持する立場ではないが、あまりにも論点がズレた議論が横行している現状を見ると、やはりこのままでは自律的に状況を改善させることは難しいとの印象を抱かずにはいられない。

 自殺事件を起こした学校の入試の可否すらまともに議論できない日本社会の論理性欠如はかなり深刻なレベルといってよいだろう。少々話が飛躍してしまうが、日本の国際的な競争力の低下も実はこの論理性の欠如と深く関連している。同高校の自殺問題が突きつけた事実は別な意味でも非常に重い。

 - 政治, 社会

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