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軍縮に走る欧米と火薬庫になるアジア。自衛隊の装備は質的に向上しているのか?

 

 米国や欧州が軍事費の大幅な削減を進める一方、アジア地域の軍事費が増大していることで、中東や欧州に代わってアジアが世界の火薬庫となりつつある。

 米国は軍事費削減に関する法律が施行され、今後10年間で4870億(約44兆円)の削減を実施する。また英国も2011年から4ヵ年で8%の軍事費削減を実施している最中である。
 このほかフランスやドイツなど欧州各国もここ20年で軍事費をドルベースで10%から35%程度縮小させている。

 これに対して中国は20年で軍事費を7倍に増やしており、今では米国に次ぐ軍事大国となっている。また韓国も2倍以上の増加を見せた。

 日本は20年前は世界屈指の軍事大国だったが、予算は横ばいが続いており、現在は中国の半分程度の水準だ。だが減少が続く欧州と比較すると、相対的には日本も軍備を増強していることになる。

 日本の軍事費については、中国の脅威に対抗するという観点から増額を求める声と、世界的な潮流にあわせて削減すべきという両方の声がある。確かに中国と韓国を除けば、世界は軍事費削減のオンパレードであり、安倍政権が提示した防衛費増額はその流れとは逆行している。
 日本の防衛予算増額の是非はともかくとして、日本の防衛力に関する議論で抜け落ちている点がある。それは防衛力の質に関する議論である。

 英国は確かに防衛費の削減を進めているが、金額以上に激しく削減しているのは兵員の数である。1960年代に30万人を超えていた英国軍兵士は現在では約10万人、2015年には8万人にまで減少する見込みである。
 これに対して日本の自衛隊員の数は1960年代から約27万人とほとんど変わっていない。しかも防衛費の増額にあわせて防衛省は自衛官の増員も求めている。
 つまり諸外国の軍隊はハイテク化が進み、人件費比率が低下しているにも関わらず、日本の自衛隊は人件費の比率が変わらない状態が続いているのだ。現代の軍隊はハイテク化が想像以上のスピードで進んでおり、同じオペレーションを以前よりもはるかに少ない人数で実行できるようになってきている。

 日本の自衛隊は下手をすると、ローテクでメタボな中高年体質になっている可能性があるのだ。日本は戦前にも軍隊の近代化に失敗した過去がある。兵員の数を減らし、近代装備に体質転換しようとしたが、軍内部の反発が強く思うような改革ができなかった。これが最終的には太平洋戦争の敗北につながってくる(宇垣軍縮)。
 中国の脅威に対する防衛体制の強化は結構だが、金額だけを見ていては本質を見誤る。量よりも質の問題が重要なのである。

 - 政治

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