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英キャメロン首相がEU脱退の国民投票実施を宣言。駆け引きにしては危険すぎるとの声も

 

 英国のキャメロン首相は23日、ロンドンで講演し、英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票を実施する考えであることを明らかにした。

 キャメロン首相はこの中で、「EUと英国の関係を見直す」と述べ、英国がEUに残るか離れるかの二者択一方式の国民投票を実施する考えを示した。ただ国民投票を実施するまでには4年の時間的猶予があり、しかも2014年に実施される総選挙でキャメロン首相が率いる保守党が政権を維持した場合という条件がついている。

 英国では以前からEU脱退論が議論されてきたが、大方の英国人はEUには肯定的といわれる。だが一部の保守的な層は、EUが英国に対して何のメリットももたらしていないとして激しく反発しており、これが現政権に対する不信感にもつながっている。
 キャメロン首相があえて国民投票の実施に踏み切った背景には、EUに関する議論に決着を付け、今後の政権運営を安定化させたいという政治的思惑がある。

 EU側も基本的にはキャメロン首相の政治的賭けであり、最終的に英国はEUにとどまるものの、交換条件として英国に有利な措置を要求してくる可能性が高いと考えている。
 実際英国は、EUが加盟国に課している条件はフランスやドイツにばかり有利であるとして、EUに残留する代わりに英国に対する特別待遇を要求してきたという過去がある。
 英国の主張も半分は正当なもので、EUにおける巨額の支出のほとんどを占める農業補助金は農業国であるフランスに有利なように設計されている。また経済水準が低い国へのインフラ支援策は、これらの国に工場を多数保有するドイツのための政策といえる。
 一方で英国は、EUのインフラをうまく活用しつつ、税制や制度面の規制緩和を進め、より有利に金融ビジネスを進めてきたという面もある。

 フランスのオランド大統領は、キャメロン首相の発言について「基本的には英国人が決めること」としつつも「EU脱退をめぐって英国と条件交渉する気はない」として、英国が行うであろう駆け引きを早くも牽制した。ドイツのメルケル首相は、多少英国に配慮した発言を行っている。

 英国の国民投票によってEUがまた不安定化するとの見方も一部では出ているが、国民投票の実施が2017年とかなり先であることから、市場関係者の多くは状況を冷静に受け止めている。だが国民投票の結果次第では、本当に英国がEUから離脱してしまうリスクも残っており、国民投票の次期が近づいてくると、市場の波乱要因になる可能性もある。キャメロン首相の今回の講演は、政治的駆け引きにしては少々危険すぎるものかもしれない。

 - 政治

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