ドイツ要人が相次いで日本の円安政策を批判。基本的には国内向けなのだが・・・
ドイツのメルケル首相は24日、スイスのダボス会議において、日本が進める為替政策について「懸念を持って見ている」と述べ、日本を批判した。これに先立ち、ショイブレ財務相も16日、日本の金融政策を批判、世界の金融市場に過剰な流動性を引き起こすと警告したほか、独連邦銀行のバイ トマン総裁も円相場が政治問題化するリスクを指摘している。
ドイツの要人から相次いで日本の為替政策について懸念が表明されているのは、とりあえずは国内向けの事情が大きい。欧州経済危機にも関わらずドイツ経済は好調だが、それはユーロ安を背景にした製造業の輸出が堅調だからである。
日本が為替を円安に誘導することで、日本メーカーの競争力が回復し、ドイツ・メーカーが不利になるという事態を懸念したものと見られている。
政治的背景から日本の為替政策が批判されているのであれば、それほど神経質になる必要はない。だがドイツからは気になる発言も聞こえてくる。同じくダボス会議に出席したドイツ商工会議所のチーフエコノミストは、日本の国債購入に触れ 「危険がいっぱいの火薬箱」のようなものだと警鐘を鳴らした。
これまで海外から日本の国債残高について懸念が表明されるのは、消費税増税を実現したい財務省の意向を受けたものがほとんどであった。だが安倍政権が本格的なインフレ政策を採用し始めたことでこの状況が大きく変化してきている。日本国債の下落が、本物のリスクとして認識され始めているのだ。
スペインやギリシャの財政危機はかなり以前から進行していたものである。だが市場がそれを認識するタイミングは突然やってくる。それまでまったく問題にされていなかったことが、一夜にして経済危機になってしまうものなのである。「その日」は刻一刻と近づいているのかもしれない。
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