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デルに出資?タブレット台頭を前に、マイクロソフトは重大な岐路に立たされている

 

 米マイクロソフトが大手パソコン・メーカーの米デルに10億~30億ドル(約900億~2700億円)の出資を検討していることが明らかになった。業績不振が伝えられるデルは投資ファンドと株式の非公開化について協議しているといわれており、マイクロソフトはファンドと共同でデルに出資するとみられる。両社とも出資についてはまだ正式なコメントは出していない。

 市場ではマイクロソフトのデルへの出資は自然な流れと受け止められている。
 マイクロソフトは創業以来、一貫してパソコン上で動作する基本ソフト(OS)を開発してきたメーカーである。次々と高機能を備えた新しいOSを投入することで、価格下落の影響を最小限に食い止め、極めて高い利益率を維持してきた。

 だがこのビジネスモデルはタブレット端末やスマホの台頭で大きく崩れつつある。
 両製品のマーケットは家電の世界であり、OSとハードは完全に一体化している。またアップルのように、ハード、ソフト、サービスの3つをセットにしてはじめて利益が出るものであり、ソフトウェア単体やハードウェア単体ではビジネスになりにくいのだ。
 マイクロソフトがデルに出資すれば、Windowsとの一体性をより強化したタブレットPCをデルと共同開発すること可能となり(写真は現在デルが販売しているWindows搭載タブレットPC)、アップルやGoogleと対抗する道筋が見えてくる。

 だが事はそう簡単には運ばない。デルはパソコン事業の低迷をうけ、2012年8月~10月期の決算において売上げが11%減少するなど業績不振が鮮明になっている。だがマイクロソフトの足元の業績は絶好調なのだ。
 同社の2012年10月~12月期決算では、売上高は前年同期比2.7%増と四半期ベースで過去最高を記録した(ただし純利益は3.7%減)。特にWindowsが好調で約24%の増収となっている。

 この状況はマイクロソフトが置かれた複雑な状況を物語っている。世の中の流れは確実にスマホとタブレットに向かっており、長期的成長を目指すのであれば、デルへの出資とハード、ソフトの一体化は必然の流れとなる。
 一方で既存のパソコンが消滅するわけではなく、ビジネス用途を中心に根強いニーズが継続すると考えられる。利益率の低いハードメーカにわざわざ出資しなくても、顧客を絞り込めば当面は高収益を維持することが可能となる。だがそれは、IT業界の覇者という名誉を自ら捨てることを意味している。地味なマーケットに対応すべく経営体制の見直しも必要となるだろう。

 スマホ、タブレットを中心にした激戦コンシューマ市場に打って出るのか、斜陽マーケットだが一定の利益が見込めるパソコン分野にとどまるのか、マイクロソフトは大きな岐路に立たされている。

 - 経済, IT・科学

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