ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

政府が2013年度のGDP見通しを上方修正。だが物価目標をめぐる政策の矛盾が露呈

 

 政府は28日に開催された臨時閣議で、2012~13年度の経済成長率見通しを正式決定した。13年度の成長率見通しは実質で2.5%とし、前回見通しの1.7%から上方修正した。

 今回、閣議決定された経済成長率見通しは、名目で2.7%、実質で2.5%。前回の見通しは名目で1.9%、実質で1.7%だったので、0.8%分成長率が上方修正された。
 成長率を上方修正したのは、1月に閣議決定した10兆円の緊急経済対策の効果を反映させたことが主な要因。個人消費や企業の設備投資などを合わせた民間の内需は1.7ポイントのプラスで前回見通しと同じなので、増加分はすべて緊急経済対策による効果ということになる。

 政府は16年ぶりに名目成長率が実質成長率を上回ることから、デフレ脱却が期待できるとし、甘利明経済財政相は「海外経済の下振れリスクがかなり減ってきた」と先行きに明るい見方を示した。

 だが数字を細かく見るとそうでもない実態が浮かび上がってくる。今回、緊急経済対策の結果として0.8%の上方修正となったわけだが、同時に発表された消費者物価上昇率は前回見通しと同じ0.5%のままだ(実質と名目の差分となるGDPデフレータも0.2%のまま)。
 つまり政府は今回の緊急経済対策はGDPを押し上げる効果はあるものの、物価上昇には寄与しないと見ているのだ。しかも0.8%の上昇分には2014年4月から8%に引き上げられる消費増税前の駆け込み需要も含まれているとみられる。
 そうなると、緊急経済対策は金額の割りには実体経済にプラスの効果を与えることはなく、しかも物価の上昇にも寄与しないということになる。

 安倍政権は片方では2%の物価目標を掲げ、日銀に対して一層の緩和拡大を要請しているが、もう片方ではほとんど物価は上昇しないと予想しているのだ。超大型の経済対策を打ち、実質2.5%の成長を見込んでいるにも関わらず物価はほとんど上昇しないと政府が認めてしまっている以上、日銀に課している2%の物価目標などもはや机上の空論でしかない。
 財務省はこういった状況は百も承知だ。彼らの頭にあるのは消費税の増税だけであり、それが実現できるまでは、とにかく公共事業を連発してGDPの数字を作っていくだろう。
 だがいくら公共事業を増やしても、それが持続的な景気の拡大に繋がらなければ物価は上昇しない。最後は物価目標の責任の所在をめぐって、安倍政権と日銀の醜い争いだけが残ることになるのかもしれない。

 - 政治, 経済

  関連記事

amazonhaiso
米アマゾンが個人に配送を依頼するアプリを開発中。数年後、社会は激変する?

 米アマゾンが、商品の配送について、運送会社ではなく一般の個人を活用する方式を検 …

furusatonozei
ようやく聞こえてきた、ふるさと納税制度に対する自治体からの異論

 ふるさと納税に対する異論が一部の自治体から出始めている。今のところ、税収が減っ …

nhkkaichou
わずか2日で自説を撤回。NHK籾井会長発言がもたらすもう一つの弊害とは?

 NHKの籾井勝人会長は2014年1月27日、従軍慰安婦問題について「どこの国に …

asohadaijin201406
麻生大臣による「守銭奴」発言。表現は下品だが、本質を突いている

 麻生財務大臣は2015年1月5日、日本企業が内部留保を蓄積していることについて …

obamaegypt02
デモ排除で多数の死者が出ても、米国がエジプトへの軍事支援を簡単にやめられないワケ

 エジプトのモルシ前大統領を支持するデモ隊に対してエジプト軍が強制排除を行い多数 …

usakoyoutoukei201606
米雇用統計はポジティブサプライズ。米株は意外にしぶとい可能性も

 米労働省は2016年7月8日、6月の雇用統計を発表した。代表的な指標である非農 …

no image
ギリシャで脱税リストを暴露したジャーナリストが逮捕。ギリシャと日本は同じレベル

 ギリシャ警察は28日、脱税者の名簿をスクープしたジャーナリスト、コスタス・バク …

no image
殺人エレベータ?シンドラー社製でまた死亡事故。前回の教訓で社長はとりあえず謝った

 金沢市の「アパホテル金沢駅前」で31日午後、エレベーターに挟まれてパート清掃員 …

orbital
日本の宇宙開発は、中韓との消耗戦を強いられている電機業界と同じ運命を辿る?

 日本では新型固形燃料ロケット「イプシロン」の打ち上げ成功が話題となったばかりだ …

imfsdr
IMFが人民元のSDR採用を正式決定。猶予期間の設定で人民元改革を要請

 IMF(国際通貨基金)は2015年11月30日、特別引き出し件(SDR)に中国 …