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米国防総省がサイバー攻撃能力を強化。だが実態は既存システムの防御で手一杯

 

 米国防総省は、コンピュータ・システムを使った軍事活動を行う「サイバー司令部」を強化し、現在約1000人の要員を今後数年間で5倍に増やす計画だという。米ワシントン・ポストが報じている。近年、中国やイスラム過激派などによる米国へのサイバーテロが増加していることから、外国の敵対勢力に対する攻撃能力の向上を目指すという。

 この話題からは、サイバー攻撃による戦争が日増しに激しくなっている印象を受ける。各誌も米中サイバー戦争が本格化というトーンで報道している。
 確かにサイバー空間を使った攻撃が増加しているのが事実だが、実態は少し違うようだ。
 米国政府は膨大な数のコンピュータ・ネットワークを保有しており、これらの日常的セキュリティ対策だけで手一杯だというのである。要員増は攻撃態勢の確立という意味もあるが、システムが肥大化し、日常業務の遂行ですらたいへんな状況にあることの裏返しなのだ。

 現在、国防総省だけでも1万5000個のネットワークがあり、全政府レベルでは途方もない数に膨れ上がる。昨年、下院が出した報告書によれば、既存のネットワークのセキュリティ対策に追われ、要員の数パーセントしか攻撃任務に当たっていなかったという。またサイバー攻撃を実施するためのスキルは、既存のシステムを防御するスキルとはまったく異なり、その育成にも時間がかるといわれている。

 今回報じられたサイバー司令部強化策は、(1)発電所や送電網など経済活動に重要なインフラを守る部隊(2)海外での軍事作戦を支援する戦闘部隊(3)国防総省のネットワークを守る部隊、の3種類で構成されている。いわゆる攻撃を目的とするのは(2)だけであり、あとは既存のシステムのセキュリティ強化ということになる。

 中国では膨大な人口を生かして、サイバーテロを部隊を人海戦術で実施している。コンピュータというと、ハイテクで先進的なイメージがあるが、現実には人の頭数が勝負という、泥臭い世界のようである。

 - 政治, IT・科学

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