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NY州議会で慰安婦問題が決議。米国政界に広がる危険な兆候

 

 米国ニューヨーク州議会上院は29日、従軍慰安婦問題について「人道に対する罪」とする決議を前回一致で採択した。
 この決議は昨年、ニューヨーク市郊外の公園に「慰安婦の碑」が建てられたことに合わせて、ニューヨーク州の57人の上院議員が共同で提出したもの。第2次世界大戦中の日本の「従軍慰安婦」は、人道に対する罪だとしたうえで、巻き込まれた女性たちの尊厳をたたえるとしている。

 米国では2007年、連邦議会下院で、慰安婦問題を巡って日本に謝罪を求める決議が採択されている。このような動きが近年米国で活発化している背景には、韓国が推し進めるロビー活動がある。韓国はここ数年、米国で慰安婦問題を政治問題化すべく大金をバラ撒いて強烈なロビー活動を行っており、人権を重視する米国の一部議員はこれに賛同している。

 また米国マスコミの関心も日増しに高まっており、日本にとって放置できない状況になりつつある。日本では安倍政権の経済政策にばかり関心が向いているが、欧米メディアの反応は異なる。欧米メディアが安倍政権を取り上げる記事の多くには、慰安婦問題を正当化する軍国主義的な首相というレッテルが貼られているのだ(本誌記事「岸田外相の訪米が決定。だが米国側の最大の関心事は何と慰安婦問題?」参照)。

 日本ではこうした韓国のやり方や米国の無理解を批判する声が高まっているが、この手の問題で韓国や米国を非難しても状況を改善することはできない。これは外交戦争であり、きれいごとで済まされる話ではないのだ。

 ニューヨーク州議会の決議案の草案には当初、「日本政府に公式な謝罪を求める」という文言も含まれていた。だが、州議会で外交関係に触れることは適切ではないとの判断から削除された。だが米国で慰安婦問題がさらに広まる状況となった場合には、突然日本に対して謝罪を要求してくるということは十分に考えられるのだ。

 日本人はこういった汚ない外交ゲームに免疫がないため、慰安婦問題への謝罪などを米国から突然要求された場合、頭がパニックを起こしてしまう可能性がある。太平洋戦争に突入した時の日本がまさにそうであった。米国がそこまで強硬に日本を叱責してくるなど、想像もできなかったのである。日本が逆ギレした結果が破滅的な戦争であった。

 慰安婦問題が米国でどのように展開するのかはまだ分からないが、突如外交問題化するリスクが水面下で進行中であることだけは少なくとも理解しておくべきである。この問題が持つポテンシャル・リスクの大きさを考えれば、TPPなど取るに足りない話だ。

 - 政治, 社会

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