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製造業の就業者が減少との調査結果。だが減っているのは製造業だけではない

 

 総務省は2月1日、2012年12月分の労働力調査の結果を発表した。それによると、製造業の就業者数は前年同月比で35万人減って998万人となり、51年ぶりに1000万人を下回った。労働力人口全体の減少に加えて、企業が生産拠点の海外移転を積極化した影響が大きいという。

 この発表を受けてマスコミ各社では、製造業の海外移転が急激に進むというトーンで報道を行っている。
 確かに製造業の海外シフトが進み、就業者数が減少しているのは事実だが、全体像を見るともう少し違った状況が見えてくる。

 製造業の就業者数は全労働力人の16%を占めているが、もっと人数の多い業種がある。それは卸・小売業である。
 卸・小売業の就業者数は1035万人と製造業よりも多く、この業種の就業者数もやはり20万人程度減少している。建設業や運輸業、娯楽サービス業も軒並み10万人以上の減少となっており、就業者の減少は製造業だけの話ではない。一方、大幅な増加が見られるのは医療・介護分野のみでこちらは40万人の増加だ。

 卸・小売、運輸、娯楽が減少している理由は明らかだ。インターネットの普及により旧来のサービス形態にニーズがなくなったのである。
 製造業だけでなく、卸、小売、娯楽など旧態依然の業種は軒並み縮小していて、介護分野だけが伸びているという構図になっているのだ。

 しかも製造業の海外移転は最近始まったことではない。就業者全体に占める製造業の割合が最も高かったのは70年代前半で全体の約27%を占めていたが、90年以降は一直線に下落が続いてきた。すでにバブル崩壊直後から製造業の海外シフトが進んでいたのである。ここ数年の円高による空洞化は、海外シフトの最終段階と考えるべきである。

 最大の問題は、製造業が海外に逃げていくことではなく、20年間もの間、製造業の海外シフトが続いていながら、その受け皿となる国内産業を育成してこなかったことにある。しかも製造業と異なり、楽天やAmazonに駆逐されたサービス業の従業員は海外にシフトすることすらできない。行き場のない労働者の受け皿が介護分野しかないというのは、あまりにも貧弱すぎる。
 安価なコストを求めて製造業が海外に出て行くことを止めることは不可能である。だが受け皿となる産業を育成することは可能だ。
 だが日本の政策は製造業の救済に向かっている。取り組むべき方向が正反対であるということを、この調査結果は示しているのではないだろうか?

 - 経済

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