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国内化学各社が相次いでエチレン生産から撤退。米国シェールガス革命のインパクト

 

 住友化学は2月2日、石油化学製品の原料であるエチレンの国内生産を停止すると発表した。国内石油化学事業の拠点である千葉工場のエチレン製造設備を2015年9月までに停止する。
 千葉工場の年間生産能力は約38万トン。エチレン製造設備停止後は、京葉エチレン株式会社(丸善石油化学、三井化学、住友化学の合弁会社)からの調達量を増加させることにより必要量を賄う予定。

 一方、京葉エチレンに出資している三井化学は、京葉エチレンから出資を引き上げ、提携を解消する。三井化学は供給過剰な状態が続いており、京葉エチレンからの受け取り分を無くして、自社工場の稼働率を高めたい意向だ。

 京葉エチレンは、千葉コンビナート内にある工場でエチレンを年69万トン生産。共同出資の3社に供給していた。
 資本金は60億円で、出資比率は丸善石油化学が55%、住友化学と三井化学が22.5%。三井化学が出資を引き揚げた後の、丸善石油化学と住友化学の出資比率は決まっていない。

 住友化学では、国内のエチレン生産から撤退する理由として、内需の減少と輸入品の増加をあげている。だがここにきて、次々と各社がエチレン製造から撤退しているのは、米国のシェールガス革命の影響が大きい。
 エチレンは主にエタンから製造するが、米国ではシェールガスの採掘が相次いでいることから、エタンの価格が半分まで下落している。エチレンの製造コストのうち6割がエタンの原料コストとなっていることを考えると、エチレン製造プラントにおける影響は極めて大きい。
 エタンの価格下落を受けて、ダウ・ケミカル社やエクソン・モービル社など、米国の化学、石油メーカーが相次いで米国内に工場を建設することを表明している。また三菱ケミカル、旭化成、クラレなど、日本の化学メーカー各社も米国に工場を建設することを検討している。
 米国は世界最大のエネルギー消費国から一転、世界最大のエネルギー産出国になろうとしており、この流れをうけて製造業も米国に回帰してくる可能性が高くなってきたのである(本誌記事「日本メーカーが相次いで製造拠点を設置。米国はものづくり大国として復活か?」参照)。

 米国に製造拠点が回帰することで、これまで新興国に流出していたモノ作の流れが大きく変化するかもしれない。また天然ガスを燃料とする自動車が、電気自動車をはるかに凌駕し、次世代エコカーの主流になるという大胆な見方も出てきている。
 エネルギー革命の主役は、太陽光や風力ではなく、シェールガスだったのかもしれないのだ。

 - 経済

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