ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

台湾と中国で人民元の直接取引が解禁。中国が狙うのは緩いアジアの人民元経済圏

 

 中国の人民元と台湾ドルの直接取引が6日、解禁された。台湾では、現地の銀行が米ドルを介さずに台湾ドルを人民元に交換する業務などを開始した。また台湾ドルが中国本土に送付され、近く中国本土でも台湾ドルと両替できるようになる。

 中国と台湾は、昨年8月、双方の間の貿易や投資の決済などを、中国の通貨・人民元で行えるよう制度を整備することで合意していた。今回の措置はこの合意をうけたもの。
 これまでは、台湾ドルと人民元の取引は、いったんドルに換えてから行われていたが、今後は直接交換が可能となる。

  人民元のオフショア市場は香港が中心だったが、台湾でも取り扱いが可能となることで、人民元の国際化がさらに進むとみられている。もっとも台湾と中国本土における人民元取引の解禁は、金融市場の発展よりも産業面におけるメリットの方に意味がある。

 台湾は中国寄りといわれる国民党が政権に返り咲いて以降、中国本土との一体化を進めてきた。中国政府は積極的に台湾のハイテク企業の本土誘致を推奨しており、税制などにおいても様々な優遇措置を講じている。
 アップルのiPhoneやiPadの生産を一手に引き受け、シャープへの出資をめぐって話題にもなっている鴻海精密工業などは、中国に本格進出して成功した企業の代表格といえる。

 台湾と本土で人民元の取引が活発になれば、台湾と中国の産業資本がより一体化することになる。金融面での出先機関が香港であり、産業面での出先機関が台湾という位置づけになれば、中国にとっては非常に好都合だ。

 中国は、人民元をドルに代わる基軸通貨にしようとは、少なくとも今の段階では考えていない。だがアジア地域に緩い人民元経済圏を確立することは、現実的な目標として考えている。台湾との取引自由化はその大きな一歩となる。
 アジアにおける人民元経済圏の確立は、日本円のマイナー通貨化を意味している。地域通貨として日本円をどのようにアジアで流通させていくのか、そろそろ本気で検討する時期にさしかかっている。

 - 経済

  関連記事

usakoyoutoukei201405
雇用が完全回復しても二極分化が続く米国の状況は、日本の近未来図?

 米労働省は2014年6月6日、5月の雇用統計を発表した。非農業部門の新規雇用者 …

nyse03
絶好調な経済を背景に米国株への関心が高まる。だが本当に落とし穴はないのか?

 投資家の間で、米国株に対する関心が急速に高まっている。米FRB(連邦準備制度理 …

toshiba03
東芝の不正会計問題。自己資本並みに大きい「のれん代」は大丈夫なのか?

 不正な会計処理が問題となっている東芝は2015年7月21日、田中久雄前社長、佐 …

no image
楽天が出版取り次ぎに参入。その本当の目的は?

 楽天が出版取り次ぎ業に参入すると朝日新聞が報じている。取り次ぎとは書籍の卸売業 …

shacho
日本企業の役員報酬は果たして高いのか安いのか?

 東京商工リサーチは2016年6月29日、2016年3月期において1億円以上の役 …

tosho05
新興国不安から世界同時株安?だがこの動きは、多くの市場関係者が予測していた

 新興国の通貨安をきっかけに世界同時株安の状況となってきている。ドル円の為替相場 …

amazondrone
米国で無人機と旅客機がニアミス。無人機の認可方針にも影響か?

 米フロリダ州の空港近くで、旅客機に無人機が異常接近(ニアミス)するという事態が …

marines
日本の軍事費は世界第5位に。だが自衛隊の「質」はどの程度なのか?

 スウェーデンのシンクタンク・ストックホルム国際平和研究所は4月15日、世界の軍 …

tokkyosingikai
社員の発明をめぐり、今度は一転して企業帰属の方向性で議論が進む

 政府は、企業の従業員が発明した特許について、これまでとは反対に、原則として企業 …

tissue
円安で値上げが続々。だが実際にはデフレ下でも値上げは進んでいた

 急激に進んだ円安を背景に、製品やサービスの値上げが相次いでいる。製紙大手各社が …