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アップルが株主への現金還元を検討。日本経済再生のヒントがここにある!

 

 多額の現金退蔵が株主から問題視されている米Appleは2月7日、株主への追加の現金還元策について検討すると発表した。

 Appleは抜群の業績が生み出すキャッシュフローを背景に12兆円を超える現金を保有している。株価が上昇しているうちは問題視されなかったが、iPhoneの驚異的な成長も限界に来ているとの見方から株価が下落したことで、一部の投資家から現金退蔵が問題視されるようになってきた。

 米国の著名ヘッジファンド「グリーンライトキャピタル」のデビッド・アイホーン会長は「アップルは資金を投資家に還元すべき」だとして、株主総会の議案に反対するよう投資家に呼びかけた。
 アップルはこれに対して声明を発表し、昨年3月に決定した450億ドル(4兆2000億円)の株主還元策のうち、来週までに実施される分が100億ドル(9350億円)に達することを明らかにした。また、取締役会は追加の利益還元について議論しており、グリーンライト氏の提案も「徹底的に検証する」とした。

 米国では多額の現金を退蔵する企業に対しては、株主から利益を還元するように圧力が加えられるのが普通だ。だが日本では会社は従業員のものという意識が強く、モノ言う株主は反社会的な人物とみなされることすらある。
 株主からの圧力がほとんどない日本企業は、多額の現金を退蔵しているが、これが日本経済の低迷が続く大きな要因になっている。

 日本は法律によって解雇が事実上禁止されている。このため企業は人件費の増加を恐れて新規雇用をなかなか行わない。このため、日本では職がある人とない人の立場が固定化されてしまい、一度職を失うと二度とチャンスがなくなってしまう。
 もし企業の利益を株主への配当という形で実施すれば、職のない人でも株を購入することで、大企業が獲得した利益の恩恵を得ることができる。だが日本では会社の利益は従業員のものなので、外部の人には一切還元されない。ここでも雇用されている人にだけ利益が回る仕組みになっているのだ。
 日本は他の先進諸国に比べて、著しく貧困率が高いことで知られているが、階層を固定する雇用制度に加えて、株主への還元がほとんどないことが、この状況に拍車をかけている。

 アベノミクスでは2%の物価上昇を掲げている。これを実現するためには、日銀の緩和策だけでは不可能であり、最終的には国民の財布が潤う方策が必要となる。企業は公器であり、経営者と従業員だけのものではない。アップルが検討している株主還元策は、企業に溜め込んだお金を国民に配分する非常によい仕組みといえる。証券市場の投資環境整備を本気で行う覚悟があれば、一見不可能に見える2%の物価目標も容易に実現できるのだ。

 - 経済, IT・科学

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