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企業が溜め込む内部留保の還元は、アベノミクスを成功させるカギとなる

 

 アベノミクスに関する議論が活発化する中、企業が確保している内部留保に再び注目が集まっている。日本企業が確保している内部留保の額は、現在約270兆円。総資産に占める内部留保の割合は年々増加しており、2000年代前半には15%前後だったが、現在では20%を超えるまでになっている。内部留保のうち現預金は約半分程度といわれていることから、10年間で35兆円近くのキャッシュが生かされずに退蔵されていることになる。

 アベノミクスでは2%の物価目標が掲げられているが、日銀による量的緩和だけでこの数値を実現のはほぼ不可能といわれている。
 継続的なGDPのプラス成長が必要となるわけだが、GDPの6割は個人消費が占めている。最終的には個人が財布のヒモを緩めないと物価目標の実現は難しいのだ。

 個人の消費を活発化させるには、雇用を拡大したり給与を増額することがもっとも効果的といえる。だが日本は法律で事実上解雇が禁止されており、企業側は怖くて従業員を増やすことができない環境にある。

 そこで注目されるのが企業からの配当である。日本の企業は年間約10兆円もの金額を配当として支払っている。上場企業のうち個人が所有する株は2割程度といわれているが、年金や保険など間接的に個人が所有する株式を加えるとその割合はかなり高くなる。また上場企業以外の企業であれば、多くが個人所有になっていると考えられる。
 企業の株主に対する利益還元の姿勢がより明確になり、配当や自社株買いが積極的に実施されれば、企業から個人へと資金が移動し、個人消費の増加が期待できることになる。

 だがこれも現在の日本の社会風土では期待薄だ。日本ではモノを言う株主として企業に増配などを要求することは、場合によっては反社会的行為とみなされることがある。諸外国では株主の正当な権利として認められている増配要求は日本ではほとんど行われない。村上ファンドの村上代表が逮捕されたのを見て、外国の投資家は恐怖心を抱き、日本市場から相次いで撤退してしまったくらいだ。

 結局日本企業は、配当を出さず、かといって有効な投資先もないので資金を内部留保として退蔵させる結果となっている。解雇できないリスクを嫌って雇用も増加させないので、企業が儲けた資金を個人に還流させる方法が閉ざされてしまっているのだ。

 この状況はマクロ的に見ると、企業は現在雇用されている従業員の利益だけを保護していることになり、社会に対して冷酷な存在になっている。
 もし企業に配当や自社株という形で株主に利益を還元する姿勢があれば、失業者あるいは非正規労働者など、従業員としての恩恵を受けることができなかった人にも、別な形で企業の利益を配分することが可能となる。

 日本企業がここ1~2年の間に、内部留保を消化できるような有望な投資案件を見つけられる可能性は極めて少ない。日本経済の復活を本気で考えるのであれば、企業の内部留保の分配策について、本気で議論してく必要があるだろう。

 - 政治, 経済

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