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福島の甲状腺検査で県外被害者は後回し。毎日新聞が示した情報公開請求の有効性

 

 福島原発事故を受け福島県が実施している子供向けの甲状腺検査をめぐり、県民健康管理調査の検討委員会が、県外避難者を後回しにすることを検討していたことが、毎日新聞の調査報道で明らかになった。

 毎日新聞の報道によると、2011年10月に開かれた第4回準備会(非公開)において、県外医療機関での検査体制の整備が議題になった際、検査責任者の鈴木真一県立医大教授が「甲状腺の専門家が少ない。県外で検査をする医療機関の認定を遅らせて、県内体制を作っていきたい」との考えを示した。
 一方、同じ日にあった公開の第4回検討委で鈴木教授は「広く県外に避難している人にも甲状腺検査を行えるよう検査体制を整える」と非公開の準備会とは異なる内容の発言を行っていた。
 実際に県外検査がはじまったのは県内の約1年後で、県外の検査を遅 らせた意図は不明だという。

 福島県と県立医大が実施している甲状腺検査をめぐっては、検査カルテを検査対象者にも開示しないなど、その実施目的や運営方法をめぐって多くの批判が出ている。当初は非公開の準備委員会の存在自体も秘匿されていた。

 今回の毎日新聞の報道は、情報公開請求に基づいて開示された、秘密会の議事録がベースになっている。日本の情報公開制度は不十分であり、公務員に都合の悪いことはほとんど黒塗りになって開示されるなど問題は多い。だが情報公開制度は、行政当局に対するチェック機能として大きな可能性を秘めている。毎日新聞の報道は、情報公開請求が非常に有効な手段であることを示している。

 米国などでは、ひたすら役所に通い辛抱強く情報公開請求をくり返すジャーナリストも多い。情報公開請求は調査報道の基本であり、本来ジャーナリズムがもっとも力を入れるべき分野といえる。今回のような情報公開請求に基づく記事がさらに増えてくることを期待したい。

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