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ドイツに学べというコマツ坂根会長の発言が際立つ。日本はドイツになれるのか?

 

 政府の産業競争力会議のメンバーであるコマツの坂根正弘会長の発言が最近注目を集めている。坂根氏は2月8日、日本外国特派員協会で講演し、為替相場に関して「円は30%高くなってから、15%戻っているだけ」と指摘し、そのうえでドイツの円安批判発言に対し「ドイツのトップがこんなことで音を上げるのはだらしがない」と強く主張した。

 坂根氏の発言は、産業競争力会議でも際立っている。多くの有識者が官僚がお膳立てした内容に沿った提言を行う中、坂根氏は強烈に持論を展開している。
 初回の会合では「いきなり具体的な施策の検討に入る前に日本の産業に関する現状認識から議論をスタートすべき」「なぜ企業ばかり優遇するのか」という点についてまず国民にしっかりと説明し、理解を得た上で進めるべきではないか」などと、的を得た提言を行った。

 坂根氏の考えの根底にあるのはドイツの産業政策。ドイツは日本と同じような製造業中心の国でありながら、高付加価値製品へのシフトに成功し、高い成長率を維持している。ドイツでは競争力のない企業は次々と倒産し、労働者の解雇も容易だ。だが一方で失業保険や再就職のための職業訓練プログラムが充実しており、労働者の環境は日本よりもはるかによい。また英語教育を徹底しており、グローバル化への適性も高い。最近では近隣の東欧諸国だけでなく、遠くフランスやスペインなど南欧からも仕事を求めてドイツに移住する人が増えている。

 地方に拠点を置きながら、グローバル企業への脱皮に成功したコマツの体験は、徹底的な合理主義に基づき、もの作りの国としての競争力を維持しているドイツの産業政策と通じるものがあるようだ。
 坂根氏は「新規分野も大事だが、これに過度な期待をかけても国を支える規模には容易にはならない」とし、安易な新規事業への補助を戒めている。また環太平洋経済連携協定(TPP)に関しては「参加しない前提で意見を言うつもりはない。不参加はまったくの論外」であると強調した。国際関係についても、「米国が入らない仕組みではアジア政治の安定はない」との現実的な見方を示している。

 坂根氏の見解はあくまでひとつの見解でしかなく、日本の経済と産業を復活させる絶対的な解決策になるわけではない。またドイツのようにと口でいうのは簡単だが、あれだけの合理主義を徹底させるには血の滲むような努力が必要である。既得権益者が税金に群がっている日本がドイツ並みの合理主義を実施できるとしたらそれは奇跡に近い。

 だが官僚が作成したペーパーに沿った予定調和的な発言をする有識者が多い中、坂根氏の自らの経験に基づいた歯に衣を着せぬ発言は、重要な意味を持っている。坂根氏のような経営者が増えてくれば、日本の産業政策も大きく変わるかもしれない。

 - 政治, 経済

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