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若者と女性の雇用を促進するという官邸主導の会議はまさに茶番劇

 

 政府は13日、「若者・女性活躍推進フォーラム」の初会合を首相官邸で開催した。出席した安倍首相は「この会議は、産業競争力会議、日本経済再生という文脈の中で今日はお集まりいただきました」と延べ、若年層と女性の雇用促進策が、成長戦略の一環であることを強調した。

 だが安倍首相の発言とは裏腹に、若年層と女性の雇用問題は、日本における経済政策の矛盾を象徴する存在になっている。会議で提出された資料はそのオンパレードだ。

 日本では男女とも若い世代ほど非正規雇用比率が高く、長期失業率も若年層で大幅に上昇している。
 大学入学者に占める25歳以上の割合は日本は2%と極端に低く、OECD平均の21%と著しい差だ。また日本では女性の子育て世代における労働力率が低い。
 会議ではこれらの状況をどのように改善するのかについて、有識者が知恵を出し合うのだという。

 だが上記の問題が発生している理由は至極単純だ。日本は正規従業員を保護する政策を意図的に採用しているからである。日本では原則として従業員を解雇することができない。企業は一旦採用してしまうと解雇できないので、新卒以外で積極的に採用を行うことはない。
  また昨年には高齢者雇用安定化法を改正し、希望者には65歳までの雇用延長を義務付けた。企業はさらに新卒採用を抑制することになる。

 つまり、日本では一度会社を辞めてしまえばもう再就職できないように制度を設計しているのだ。若い世代の非正規雇用が増えているのは、新卒採用数が減っているからであり、大学で再教育を受ける社会人がいないのは、卒業後に再就職できないからである。

 「スカートを踏まれていたので、誰かと思って後ろを振り返ってみると、けしかけている本人だった」という田中真紀子氏の名言があるが、まさに若者・女性活躍推進フォーラムのことを示しているようだ。一方で非正規従業員と女性の雇用を増やせといっておきながら、一方ではそれを邪魔する政策を実行している。
 だが正社員を保護する法律はすでに施行されているものであり、若者・女性活躍推進フォーラムが何を提言したところで、これをひっくり返すことは不可能であろう。
 若者や女性の雇用は増やさないというのが、現在の日本政府が示している見解なのである。この根本的な部分について議論しない限りは、若年層、女性問題が解決することはない。

 - 政治, 社会

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