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再び日銀法改正を持ち出す強気の首相。一部からはインフレ後を心配する声も

 

 国会において2012年度補正予算の審議が本格化したことをうけて、アベノミクスに関する論戦がさらにヒートアップしている。安倍首相は現在の円安、株高を受けて強気の発言をくり返しているが、一部からは政府の立場を追い込んでしまうのでは?という心配の声もあがっている。

 安倍首相は12日午後の衆議院予算委員会で、日銀法改正の件について答弁し、現時点で考えていないと前置きしつつも、結果が出ない場合には日銀法改正も辞さない姿勢をあたらためて強調した。

 一方、18日の参院予算委員会では、物価目標について「5、6、7、8%に上がっていくことがないようにする」「物価は目標である2%に抑えることができないと中央銀行の存在意義がない」と述べ、過度な物価上昇にならないよう、日銀の責任で物価を安定させることを強調した。

 基本的には物価安定は日銀の責任だが、結果がでない場合には日銀法を改正して政府が責任を持って取り組むということになる。だがこのロジックは実は大変危険な要素を含んでいる。

 現在はデフレであり、極論を言えばお札を刷ればインフレにできるので、日銀法改正をちらつかせ日銀を恫喝する方法はうまく機能する。だが問題は物価上昇がスタートし、それが止まらなくなった時だ。
 物価が上昇し始めると、必ず「インフレから庶民の生活を守れ」という大合唱が始まることになる。だが下手に金融を引き締めると一気に景気が冷え込むので、産業界などを中心に猛烈な反対運動が起こることも目に見えている。
 かつて日本はバブル経済で誰もおかしいと分かっていたのにそれを止められなかった。金融引き締めの議論が起きるたびに猛烈な反対運動が起こったからだ。結果的にバブルが大崩壊するまで何もできなかった。

 これまでは日銀法という都合のよい言い訳材料があり、最後はすべて日銀のせいにすることができた。だが日銀法の改正を安易に主張しすぎていると、最後は政府が責任を持って実行するという形になってしまいかねない。インフレがスタートしてからの金融引き締めを政府の責任で実行するなど、まさに流血の事態である。政府がそれを決断できる可能性はかなり小さいと思った方がよい。

 おそらく安倍首相は、インフレが抑制できなくなった時のことまでは考えていないのであろう。その頃にはもしかしたら首相も別な人物かもしれない。だが金融緩和を続ければ、いつか、インフレを抑制しなければならない日がやってくる。
 政府関係者が心配しているのはそのことである。日銀の独立は、政府が金融政策の権限を失ったこと意味しているが、日銀に対して責任を転嫁できる手段を手に入れたことでもある。もしそれをもとに戻してしまえば、責任も政府に戻ってきてしまう。

 近い将来、インフレが進んだときには、「政府が悪い、日銀が悪い」という醜い責任転嫁の応酬となることは目に見えているのだ。もし安倍首相が首相を続けていれば、再びお腹が痛くなってしまうかもしれない。

 - 政治, 経済

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