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アマゾン・ジャパンの売上高公表で明らかになった、日本のネット通販市場の限界

 

 米アマゾン・ドット・コムは2012年12月期の日本での売上高が78億ドル(約7300億円)に達したことを明らかにした。同社はこれまで海外売上げについては国別の数値を公表していなかった。

 アマゾンの国内売上高はネット通販としては最大規模となる。ネット通販大手の楽天は手数料収入が売上げとなるが、アマゾンの場合は商品の販売代金がすべて売上げに計上されるため、数字が大きくなる。楽天の流通総額は約1兆4000億円なので、取扱高という意味では楽天の方がアマゾンを上回る。

 ちなみに、スーパー大手のセブン&アイ・ホールディングスの直近の売上げは約4兆8000億円、イオンは約5兆2000億円である。アマゾンと楽天を合わせると2兆円になり、全国各地に巨大店舗を持つ大手スーパーと比較できる水準になってきたことが分かる。

 一見すると、今後、日本ではネット通販がさらに躍進するかのようだが、米国や中国など海外に目を向けると、必ずしもそうではないことが分かってくる。
 北米アマゾンの売上げは約348億ドル(約3兆2700億円)で楽天の2.3倍の規模。だが小売大手のウォールマートは37兆円も売上げがあり、日本の大手スーパーとは比較にならないレベルだ。ネット通販がリアルに追いつくのだとすると、北米のアマゾンはまだ10倍の成長余地があることになる。
 これに対して日本の大手スーパーは完全に売上げが頭打ちになっている。楽天やアマゾン(ジャパン)が今後も成長するにしても、大手スーパーを追い抜いてさらに拡大を続けることは考えにくい。つまり楽天やアマゾンも日本では売上げがそろそろ頭打ちになりつつあることを意味している。

 ちなみに、中国ネット通販大手のアリババ・グループの取扱高は約13兆円。また利用者のプロフィールは圧倒的に20代、30代が多く、今後の成長余地が極めて大きい。楽天は各年齢層がまんべんなく分布しており、逆にいうと今後の成長余地が乏しい(本誌記事「中国最大のECサイト「アリババ」と「楽天」を比較して分かること」参照)。

 小売店の業績は、最終的にはその国のGDP成長に収れんしてくる。インターネットといえどもその法則には勝てない。経済成長が止まってしまった日本では限界があるのだ。日本のネット通販業界は、縮小市場でパイの奪い合いをするのか、海外市場に打って出るのかの二者択一を迫られている。

 - 経済, IT・科学

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