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特許黒字は1兆円だがその内実は・・・・。特許収支からも分かる日本の空洞化

 

 国際競争力の低下や円高などによって、日本企業の海外移転が急ピッチで進んでいるが、特許使用料の面からも日本の空洞化が明らかになってきている。

 日本は昨年から貿易赤字体質がほぼ定着した状態となっている。企業の価格競争力低下で輸出が伸び悩んでいることや東日本大震災の影響でエネルギーの輸入が増加したからである。

 日本はこれまで製品を海外に輸出した儲け、つまり貿易黒字でメシを食ってきた。90年代以降、日本は毎年10兆円程度の貿易黒字を確保しており、これが日本の富の源泉となっていた。
 だが一方で、コンテンツや知的ビジネスなどの収支を表すサービス収支については、2兆円程度の赤字が毎年一貫して続いてきた。

 経済産業省では、貿易黒字依存の体質から脱却するため、アニメをはじめとするコンテンツ輸出振興策などを掲げてきたが、どれもうまくいっていない。だが唯一の例外がある。それは特許使用料である。多くのサービス分野で赤字が続く中、特許使用料の収支は近年黒字に転じており、その額も増加している。2012年の特許使用料などに関する収支は9500億円程度の黒字になる見込みだ。

 一見喜ばしいデータに見えるが、残念なことにこれにはウラがある。特許収入の内訳を見てみると、収入のほとんどがが、海外に進出した現地子会社から受け取る特許料となっている。つまり、産業の空洞化に伴いアジアに進取した日本企業が現地法人を設立し、日本の本社に特許料を支払っているのだ。つまり単なる社内取引であり、実際に利益が出ているというわけではない。

 日本においてサービス産業の活性化がうまくいかなったのは、リストラなど痛みを伴う改革を多くの国民が望まなかったからである。サービス収支の改善は難しいと分かってきたのか、最近は再び製造業を復活させようとの声が大きくなってきている。
 だが競争力を失った分野を再び活性化させることは極めて難しい。競争力を付けるには最終的には競争するしか方法がないからだ。つまり、弱体化した企業は容赦なく市場から退出させる荒療治を行わないと競争力を回復することはできないのである。

 貿易収支が赤字に転落した今、残された時間は少ない。このまま衰退の道を歩むのか、痛みを伴う競争力強化策を受け入れるのか、日本人は選択しなければならない。

 - 政治, 経済

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