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米議会が日米関係の報告書を提出。尖閣問題よりも従軍慰安婦問題が重要テーマ

 

 安倍首相の訪米を前に米議会調査局は15日、日米関係に関する報告書を発表した。日本のマスコミ報道では、尖閣諸島での日中対立について「米国が軍事衝突に直接巻き込まれる可能性がある」との見解を示したというニュースだけが報じられているが、実際の報告書はかなり異なっている。
 安倍首相の右翼的傾向や従軍慰安婦問題などが主題となっており、米国の日本に対する見方は、日本で報道されている内容とはだいぶ異なっていることが分かる。

 報告書は32ページ。日本の外交政策および日米関係について真っ先に記述してあるのは、普天間問題でもTPPでもなく、日本の歴史認識問題と従軍慰安婦問題であった。

 報告書では安倍首相について、右翼的ナショナリストであると定義している。これは欧米のマスコミでもまったく同じ論調となっており、その是非はともかくとして、国際的には共通の認識となっているようである。
 また従軍慰安婦問題(原文では日本皇軍による性奴隷と表現されている)では、安倍首相がそれを否定していることから、韓国や米国の議会から批判されているとしている。
 2番目には中国との尖閣諸島問題、3番目に日韓関係の悪化問題が列挙されている。
 TPP問題は経済関係の項目の中の一部に、普天間問題やオスプレイ問題は日米同盟の項目の中の一部として取り扱われているに過ぎない(オスプレイ問題がここまでこじれているのは、日本国民が原発事故をきっかけに政府に対して不信感を持ったことが背景にあると、かなり的確な分析を行っている)。
 日本側が意識している日米関係の課題とは相当乖離していることが分かる。

 この報告書は議会の調査局が作成したものであり、ホワイトハウスや国務省のものではない。従軍慰安婦問題は米国の議会を中心に関心が高まっており、必ずしも米国政府の意向を反映しているわけではない。だが先月、岸田外相の米国訪問の際、国務省の記者会見で出てきた質問の多くは慰安婦問題であった(本誌記事「岸田外相の訪米が決定。だが米国側の最大の関心事は何と慰安婦問題?」参照)。
 慰安婦問題については韓国が米国政界に露骨なロビー活動を行っており、韓国を支持する議員が確実に増えてきている。安倍首相が岸信介元首相の孫であることや、安倍首相が岸元首相を尊敬していると公言していることが、この問題をやっかいにしている。

 国際政治は血も涙もない冷酷な世界である。日本がいくら不当な批判だと叫んだところで、日本たたきというパワーゲームに巻き込まれたらそれでおしまいである。安倍政権は日米同盟の強化など暢気な主張をくり返しているが、米国で増大している慰安婦問題を甘く見ていると、後で取り返しのつかない事態にもなりかねない。

 - 政治

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