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一連の体罰問題。内容は全く違うが、社会的な構造はインドの「あの事件」と類似している

 

 大阪市立桜宮高校で男子生徒が自殺した事件に端を発した体罰問題は、全国各地で告発が相次ぐ状況になっている。
 奈良県大和高田市立高田商業高校のソフトテニス部では、顧問の教諭2名が複数の部員に体罰を加えていた事実が明らかになった。また、静岡県立浜松商業高校でも、男子バレーボール部顧問の男性教諭が部員を殴り、鼓膜が破れるけがを負わせていたことが明らかとなっている。大阪府教育委員会の調査結果では、185校のうち33校で合計115件の体罰があったという。

 体罰に反対する声が大きくなる一方で、体罰を擁護する意見も根強い。
 福岡県春日市教育委員会が市立小中学校の全教職員を対象にした意識調査では、4割が体罰を容認している。毎日新聞が実施した全国世論調査では、「一定の範囲で認めてもよい」との回答は42%であった。読売新聞社の全国調査においても「認めてもよい、場合によっては認めてもよい」は45%だった。

 調査方法や対象者が異なる複数の調査における結果が類似していることを考えると、日本人のおよそ40%~50%は体罰を容認していると考えてよいだろう。

 日本では原則として体罰は禁止されている。実際、体罰が発覚すると、関係者は一様に謝罪している。だが現実には半数の人が容認しているので、体罰がなくなることは決してない。一方で、体罰を行った教師が、堂々と「自分は体罰を教育の一環で行っている」という主張するケースもほとんどない。
 総合すると、体罰については容認しているものの、その行為には後ろめたさを感じている。だが、やめる気はさらさらない、といったところだろうか。恥じているのにやめるつもりはない。冷静に考えると、これは一種の病気にも思えてくる。

 凶悪さやモラルのなさという面で同列に論じることはできないが、日本の体罰問題は、基本的な構造が似ているという意味で、ある国で話題となっている社会問題と非常にそっくりだ。国際的にも問題になったインドのレイプ事件である。
 インドではバスの車内で複数の男性が女性をレイプした上で殺害し、路上に放り投げた事件をきっかけに、大規模なデモが発生する騒ぎになった。レイプ犯罪者に対する厳罰化や治安強化などが検討されているが、一向に状況が改善される兆しは見えない。なぜなら、インドでは少なくない割合の男性が、女性がレイプされる事件が起こってもやむを得ないと考えているからだ。 
 そのインドでもレイプ犯罪は恥ずべきことであり、公然とそれを肯定することは許されない。だがこのような事件がなくなることは決してないのだ。

 実はこのような社会問題(建前上ルールがあり、それを破ることは恥と思っているが、実際には多くの人がルールを守らない)は、近代化が不完全な社会ではよく見られるものである。韓国や中国でも似たようなケースが散見される。
 この場合、一定期間は社会問題として騒がれるが、そのうちうやむやになって忘れられてしまい、問題はそのまま継続するというのが、典型的な経過のパターンだ。

 体罰問題について、体罰を完全に容認するか、理由の如何を問わず一切禁止するかのどちらかに決めることができれば、日本社会も少しは近代化が進んだことになるのだが、はたしてどうなるだろうか?

 - 社会

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