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女性の賃金が過去最高を更新したのは、皮肉にも日本が貧しくなっているから

 

 厚生労働省は21日、賃金構造基本統計調査の結果を発表した。それによると、2012年の女性の平均賃金は前年比0.5%増の月額23万3100円となり、2年連続で過去最高を更新した。また男女間の賃金格差も過去最小に縮まった。

 一般的なマスコミ報道では、女性の社会進出が進んだことで、男女格差が縮まったとしており、女性の活用によってデフレ脱却をめざすアベノミクスを後押しするとしている。だが調査結果全体を見ると、単純に女性の社会進出が進んだと見るのは早計だ。

 確かに女性の賃金は一貫して上昇を続けている。だが男女間の賃金の格差はかなり大きい。月額23万3100円の女性に対して男性は32万9000円と1.4倍もある。また女性と男性の賃金格差が急激に縮小してきたのは、日本経済の低迷がより深刻化してきた2000年以降のことである。

 現在、日本の名目GDPは470兆円ほどだが、この数値は20年間ほぼ変わっていない。一方、米国や欧州など諸外国は、20年間でGDPを1.5倍以上に成長させている。日本はこの20年で相対的に30%近く貧しくなっているのである。

 男性の賃金は2001年にピークを付けて以降、減少傾向が続いている。つまり女性の賃金が上昇したのは、日本が貧しくなり、より安い労働力である女性の雇用を増やしているだけなのだ。また2001年には年齢別の賃金分布はかなり緩やかな形状(年齢による賃金格差が少ない)だったが、2012年では50代の賃金水準が突出して高い尖った形状に変化している。

 要するに中高年男性の賃金を維持するために、若い人の雇用や賃金を犠牲にし、より安い労働力として女性を活用したというのが真実の姿である。
 日本はアベノミクスが掲げる前向きな意味での女性活用ではなく、貧しさゆえの女性活用が進んでいることになる。本当の意味で男女格差をなくすためには、競争環境を促進し、経済成長を実現することと、非効率な雇用の偏りを解消することが重要である。だが残念なことにアベノミクスでは、その視点はあまり重要視されていない。

 - 社会, 経済

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