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森元首相がプーチン大統領と会談。北方領土問題における「引き分け」の真意とは?

 

 森喜朗元首相は21日、安倍首相の特使としてロシアを訪問しプーチン大統領と会談した。プーチン氏は日ロ関係について「平和 条約がないことは異常な事態だ」と述べ、領土問題の解決に前向きな姿勢を示した。またプーチン氏は、大型連休前後で調整している安倍首相のロシア訪問について歓迎の意向を示した。

 北方領土問題についてプーチン氏は、昨年の大統領選における自身の再選をきっかけに「引き分け」という言葉を使って、前向きに処理する意向があることを日本側に伝えていた。今回の森氏の訪ロもその延長線上にある。

 プーチン氏は「引き分け」という言葉の真意について「双方受け入れ可能な解決策だ」と説明 したという。日本ではその内容をめぐっていろいろな説が飛び交っているが、プーチン氏が意図しているのはズバリ、歯舞、色丹の2島返還である。
 日本はこれまで一貫して4島一括返還を主張してきたことから交渉は頓挫していたが、プーチン氏は「部分返還なら交渉に応じる用意がある」とサインを出したというわけである。
 森氏は個人的な意見として「3島返還という選択肢もある」としている。歯舞、色丹は面積が小さく、面積比で引き分けなら、国後島を含めた3島が妥当という意味である。

 プーチン氏が歩み寄りの姿勢を見せている背景には、中国の台頭、資源外交、日米安保の弱体化の3つがある。
 ロシアと日本は地政学的に利害が相反することが多く、完全に同盟国になれる関係ではない。だが中国が必要以上にアジア地域で台頭することはロシアは望んでいない。当初から米国と日本の同盟関係にはヒビを入れたいと考えているロシアとしては、日米同盟が揺らいでいる今はチャンスと捉えている。

 さらにここにきて日本側に有利になってきているのが、天然資源をめぐる国際情勢である。当初はエネルギー調達の多様化を進めたい日本が不利な立場だったが、米国産の安価なシェールガスの登場はその状況を大きく変えた。ロシアはむしろ日本側に天然ガスを売り込まなければならない立場になりつつある。日本側としての交渉を進めるタイミングは今しかないだろう。

 ただ日本国内には4島一括返還にこだわる声も大きい。プーチン大統領の中では4島一括返還という選択肢はゼロであり、日本がこれに固執すれば交渉は決裂する可能性が高い。4島一括返還にこだわるポーズを見せつつ、3島を落とし所にできればゲームとしては上出来だろう。だが、日本国内の世論がそれを許すかどうかは不透明だ。
 ともかく、停滞していた日ロ交渉が再び動き始めたことは間違いない。日ロ交渉の行方は、日中関係、日米関係に少なくない影響を与えることになる。日本人の「政治力」が試されている。

 - 政治

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