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サラリーマンの閨閥が日本企業をダメにする

 

 よく知られていることだが、経営危機に陥っているシャープの前会長の町田氏は、同社2代目社長の娘婿である。また原発事故を起こした東京電力の清水前社長は、当時会長であった勝俣恒久氏の娘婿であり、実の父親も東京電力の社員である。

 日本の会社には閨閥が非常に多い。しかも特徴的なのは、オーナーの閨閥ではなく、会社に対して何の所有権も持っていないサラリーマン経営者の閨閥が目立つことである。

 どんな形であれ、会社の私物化はよくないことなのかもしれないが、それが会社の所有者(オーナー)によるものであれば、誰をどのような役職に配置しようが、ある意味で勝手である。会社を私物化して経営が傾けば、何百億円も損するのは結局自分達である。

 トヨタの現社長は創業家の豊田章男氏だ。もし彼が経営判断を誤りトヨタが傾けば、もっとも損をするのはトヨタの株を多数保有する豊田家である。仮に会社が倒産の危機に直面することがあれば、創業家は私財を差し出さざるを得ないだろう。
 豊田一族が保有する巨額の資産は章男氏の腕にかかっている。章男氏もハラが据わるというものだ。

 ホンダ創業者の本田宗一郎氏が閨閥を嫌い息子を会社に入社させなかったのは有名な話である。だが息子の本田博俊氏は関連会社の社長には就任している。結局、ホンダ社内で博俊氏を利用する人が後を立たず、数十億円もの使途不明金が発覚して博俊氏は逮捕されてしまった(博俊氏は騙されたという説もある)。

 かの本田宗一郎ですらこのような状態なのに、単なるサラリーマン社長が経営の最終責任をとれるはずがない。会社が傾いても自分の財布は傷まないし、倒産したとしてもただの庶民である彼らに提供する私財はない。つまり彼らには自分のケツを拭く能力がないのだ。

 このようなサラリーマン経営者はモラルハザードを起こしやすい。だからこそ会社の外部にいる株主が経営者を監視しなければならないはずである。これを英語でコーポレートガバナンスと呼ぶ。
 日本では外来語のキーワードだけを覚えて満足する人が多く、真の意味が理解されていないことが多い。コーポレートガバナンスとは「サラリーマン経営者は何をしでかすか分からないので監視しなければならない」という意味である。
 日本企業で、責任能力のないサラリーマン経営者の閨閥が目立つのは、企業のガバナンスが機能していないよい証拠といえる。

 一時期、日本では会社は株主のものではなく、従業員のものでもあるという風潮が蔓延していた。会社が従業員のものだというならば、会社が起こした行為について従業員も責任を負わなければならない。所有権を主張して金銭的利益を得ておきながら責任は負わない、などということが通るワケがない。
 東電の社員やシャープの社員は私財を差し出したのだろうか?

 「会社は従業員のものでもある」などという幼稚な寝言とはそろそろ決別すべき時が来ている。

 - 社会, 経済

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