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憲法改正の動きが本格化?だが本当にまともな憲法が自主制定できるのか疑問との声も

 

 憲法改正をめぐり、まずは「総議員の3分の2以上の賛成」を必要とする現憲法96条を改正しようという動きが活発になっている。

 日本維新の会で共同代表を務める橋下徹大阪市長は24日、読売新聞社の取材に対して、夏の参院選を通じて憲法96条の改正を目指す考えを明らかにした。
 現行で「総議員の3分の2」としている要件を「過半数」に緩和することで「憲法が変わる可能性があるという環境を整えることで、責任ある憲法論議が展開される」と述べた。
 また自民党は15日、政権交代後初となる憲法改正推進本部の会合を開催し、96条の見直しに優先的に取り組む意向を改めて示した。

 よく知られているとおり、現行の日本国憲法は太平洋戦争の敗北と、GHQによる占領政策によって出来上がったものである。戦争放棄を定めた9条がその後の国際情勢と乖離していることや、日本語の文法としておかしな部分があるなど、以前から自主憲法制定を求める声は多かった。多くの人は忘れているが、そもそも自民党は自主憲法選定のために作られた政党である。

 右派の安倍政権が成立し、日本維新の会が躍進している現状を考えると、憲法改正に向けた具体的な動きが活発化することは不思議なことではない。

 ただ実際に憲法改正の話が具体化してくると、これまでには表面化することがなかった、さまざまな問題も明らかになってきている。
 もっとも深刻なのが、本当にまともな憲法が日本人の手で作れるのかという根本的な疑問である。例えば自民党は独自に策定した「憲法改正草案」を公表しているが、この内容がかなりお粗末なのである。
 自民党の憲法改正草案は、基本的人権に関する理解が根本的に間違っているという基本的な問題に加えて、犯罪被害者への配慮、緊急事態への対処、個人情報の取り扱など、つい最近、時事問題になった細かいテーマをただ盛り込んだだけの内容に終始している。また官僚が責任回避に用いる「等」という文字が多用されており、作文を官僚に丸投げしたのがバレバレの内容となっている。
 また維新の会も公約策定の際、一部の議員が先走って国粋主義的な内容を公表し、のちに橋下代表が否定するなど、安易でお粗末な行動が目立つ。

 自民党の草案はあくまで草案であり、具体的なたたき台をもとにした議論を始めなければ、ものごとが前に進まないのも事実である。
 だが、日本人は理念という抽象的なものを明文化することが著しく不得意であるのも事実で、下手に改正論議を進めてしまうと、枝葉末節を並べたレベルの低い新憲法が出来上がってしまうかもしれない。自民党の草案を見ると、そうなる可能性が高いように感じられる。結果的に現行憲法の方がマシしだったという事態にもなりかねないのだ。

 安倍首相は自らを「保守」の政治家と認識しているようだが、本当の意味での保守思想とは、長年続いてきたものは、たとえ弊害があっても拙速には変えないという「知恵」を含んだものである。憲法理論上、現行の日本国憲法においても、集団的自衛権の確立は可能であり、憲法の条文を変えること自体が目的ではない。

 単純に政府の権限を強化するだけの、矮小化された条文をもってして、日本人の誇りを取り戻す憲法というなら、それはあまりにもお粗末である。

 - 政治

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