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石破幹事長の出番がない!TPP参加は政府に一任で、反対派はいとも簡単に陥落。

 

 それなりの抵抗が予想されていた自民党のTPP反対陣営がいとも簡単に落城した。安倍首相は25日、自民党役員会に出席し、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加について、政府に判断を一任するよう求めた。党側はこれを了承した。

 安倍首相はオバマ大統領との首脳会談において、「関税撤廃の例外品目が認められる可能性が確認できた」として、交渉参加に舵を切る意向を示していた(本誌記事「TPPに対して満額回答だというマスコミ報道は果たして本当なのか?」参照)。

 自民党内には、農業団体を支持基盤とする議員やグローバル化を好ましく思わない議員を中心に反TPP同盟が結成されていた。TPP推進派議員は数十人の規模なのに対して、TPP反対派議員は200 人を超える大所帯である(本誌記事「安倍首相の訪米を前に、与党内でTPPをめぐる動きが活発化」参照)。
 TPPへの参加が表明された場合には、これらの議員が一斉に反発し、党内調整が困難を極めるかとも思われたが、党側はあっさりと首相サイドの意向を受け入れた。党内調整が長引けば、現在求心力を失っている石破幹事長の政治力回復につながる可能性があったが、石破氏はここでも存在感を示すことはできなかった。

 この背景には、TPPへの参加は自民党内ではすでに既成事実であり、実務レベルではすでに交渉参加を前提にした作業が進められていたという現実がある。だが以前の自民党であれば、農業の自由化には一部議員が徹底して反対し、徹夜の交渉が続けられる光景が見られたものである。だが今の自民党にはそのような雰囲気はまったく感じられない。それは、農業団体などの支持母体が以前のような政治力を持っていないことも大きく影響している。

 以前は農業の自由化そのものは避けられないにしても、反対の声を上げれば、補償金などの「見返り」があった。だが現在の日本は財政が底を付き、以前のようなバラ撒きができない状況にある。今回もTPP参加と引き換えに農業支援策が検討される見込みだが、農業振興ファンドなど農業の産業化に重点が置かれる可能性が高い。
 地域の共同体維持も難しくなっており、集票マシーンとしての農業団体の影響力は急激に低下している。小選挙区制が定着し、世論の雰囲気で簡単に政権がひっくり返ってしまう状況も、支持基盤の確保に身が入らない原因の一つになっているかもしれない。

 結果として、TPP参加についても激論が戦わされることなく、首相一任で決着してしまった。TPPをめぐる一連の動きは、時代がすっかり変わってしまったことを象徴している。

 - 政治

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