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アベノミクスの中核、産業競争力会議が早くも形骸化。骨格が議論されず各論ばかり

 

 安倍政権の成長戦略の要となる産業競争力会議が早くも機能不全を起こしつつある。我が国の成長戦略、産業政策はどのような考え方に基づくべきなのかという根本的な部分が議論されず、各論ばかりが進んでいるのだ。

 最初に政府が重点分野をあらかじめ決定して予算を確保するという事務局案(官僚が作成)を追認する有識者と、もっと大枠の議論を進めるべきという有識者で見解が分かれれているが、これについて本格的に議論した形跡はあまりない。
 たとえば東レ会長の榊原定征氏はイノベーション政策として、予算配分の重点化項目、開発支援プログラムなど、政府が分野を特定して助成するやり方を前提にしたプランを提出している。

 一方、楽天社長の三木谷浩史氏、サキコーポレーション社長の秋山咲恵氏、ローソン社長の新浪剛史氏、慶応大学教授の竹中平蔵氏は4名連名で「そもそもイノベーションは起こすのは民間であり、民間企業を取り巻く研究開発環境を整備することが必要」と、特定分野の助成ではなく環境整備が重要であるとの提言を行っている。

 三木谷氏はさらに「国が資金をどういう形で投入するかが重要で、特定の産業に資金を投入するのは大変危険」「ある産業が今は良いと思っても、将来的にどうなるかは予測できないし、国の資金投入により企業にモラルハザードが起きるおそれもある」とも指摘している。

 産業政策のあり方について根本的な立場の相違があることはある意味で非常に有意義なことである。この部分を徹底的に議論し結論を得ることができれば、それは国家の基本戦略として非常に安定感のあるものとなる。まさにこの部分を議論するのが産業競争力会議の役割といえよう。

 だが会議は重点分野に予算配分するという各論ありきで進んでしまっており、環境整備の重要性を指摘した有識者はただ提言しただけで終わってしまっている。このような議事を進め方をしていると、結果的には特定の考え方に沿った有識者の提言だけが採用されていくことになってしまう。

 しばしばこのような有識者会議は、事務局側が提案したプランを追認しお墨付きを与えるための道具に利用される。成長戦略は本来、アベノミクスの中核をなす政策なはずである。このままでは単なる予算獲得の手段になりなねない状況だ。

 - 政治, 経済

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