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米Yahooが社員に在宅勤務禁止を通達。自由といわれる米IT企業の本当の姿とは?

 

 米Yahooのマリッサ・メイヤーCEOが、社員に在宅勤務を禁止する通達を送ったことが波紋を呼んでいる。メイヤー氏は2月22日、同社の在宅勤務者に対して「6月以降は出社して仕事をするように」という通達を出した。従わない場合には解雇もありえるという厳しいものだ。

 メイヤーCEOはGoogle出身。昨年8月、業績不振のYahooを再建するため新CEOに就任した。
 着任早々、エンジニアの採用強化、社員食堂の無料化、社員へのスマホ支給など、新しい施策を次々と打ち出している。
 ただ足元の業績は厳しく、2012年12月期の決算において4年ぶりに前年比プラスになったものの冴えない状況が続いている。同氏はCEO就任直後に出産したが、わずか2週間で職場に復帰しており、自らもハードワークを課している状況だ。

 ヤフーでは数百人のスタッフがフルタイムで在宅勤務をしているほか、多くが週に数回のペースで自宅で仕事をしている。今回の措置は、在宅勤務に関する是非というよりも、社内の引き締めとリストラを兼ねたものである可能性が高い。リーマンショック後、経営危機がささやかれた大手銀行バンク・オブ・アメリカでも、同様にフレックス勤務制度の制限を行っている。

 IT系企業は自由な社風であるというイメージが強いが、そのイメージは必ずしも実態を表わしているわけではない。Googleは社内のカフェテリアが無料だったり、ゲーム機が備え付けられているなど、ユニークなオフィスで知られている。だが一方で社員に課されるノルマは半端なものではない。
 このような豊かなオフィス環境を構築するさきがけともなったマイクロソフトは、以前は「妻帯者や早く帰宅するような人には昇進のチャンスはない」と半ば公言していたこともある。同じく充実したオフィス環境で有名なアップルも、凡庸とみなされた社員は、故ジョブズCEOから人格が破壊されるほどの激しい罵声を浴びせられ、退職に追い込まれるのが常だった。
 要するに、楽しげな雰囲気のオフィス整備は、ウラを返せば家に帰るな!卓越した業績を上げる人以外は必要ない!という無言の圧力ともいえるのだ。

 日本では米国の在宅勤務の例を引き合いに、職場環境の充実を求める声も多い。日本の職場環境は欧米よりも劣悪なことは確かであり、意味もなく社員が顔を合わせるなどムダが多い。米国のオフィスでは個室も多く、仕事はすべて個人の責任で遂行されている。在宅勤務もその延長線上にあるといってよい。
 だが忘れてはならないのは、豊かなオフィス環境を実現させている背景には、徹底した競争と利益至上主義、弱肉強食の文化がある。米国では平均レベルの仕事しかできない人は、豊かなオフィス環境はおろか、職そのものにありつけないのである。

 在宅勤務を禁止するメイヤーCEOの措置は、Googleとは比較にならない差をつけられてしまったYahooは、もはや凡庸な人間しか集まっていない集団になり下がったのだという、強烈なメッセージであり、荒療治の一貫なのであろう。

 - 社会, IT・科学

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