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株高で富裕層はウハウハ?日本ではなぜ庶民が株高の恩恵を受けられないのか?

 

 このところの株高で富裕層の消費が拡大していることが明らかになった。日本百貨店協会は2月19日、1月の全国百貨店売上概況を発表した。それによると、2012年1月における全体の売り上げ高は前年同月比で0.2%増とほぼ横ばいだったが、高級品の売り上げが大きく伸びた。アベノミクスによる株高が富裕層の消費を拡大させたものと考えられる。

 販売が伸びているのは、美術品、貴金属類、ブランド物の雑貨などで、美術品・貴金属は6.8%もの上昇となっている。また高級ブランド品の多くが含まれる身の回り品も3.6%の増加だ。横ばいかマイナスが続く他の商品に比べ、これら高級品の伸びは突出している。
 また昨年末に本格的なモデルチェンジを行ったトヨタの高級車「クラウン」の受注も好調で、月間目標台数をはるかに上回る受注が続いている。

 高級品の販売が好調なのは昨年末から続く株高の影響が大きい。富裕層は余裕資金があり、積極的に株式に投資している人もいる。日経平均は昨年末から20%以上、上昇している。個別の株式では50%以上値上がりしたものもあり、利益を得た富裕層が高級品を購入している可能性は高い。

 経済では株高で消費が増えることを資産効果と呼ぶが、まさにこれは資産効果の典型といえるだろう。だが問題なのはこれが持続するのかという点である。
 米国や欧州と異なり、日本の富裕層における金融資産の割合は極端に少ない。たまたま土地を持っていただけという資産家も多いのである。彼らは表面上は資産家でも生活は庶民と変わらず、大きな購買力を持っているわけではない。

 また米国では401K(確定拠出年金)など、年金基金が積極的に株式投資を行っているため、株高は一般庶民の所得も増やすことになり消費を増加させる。だが日本では株式は「危険なもの」とされ多くの国民は手を出さない。
 また実際に日本の上場企業は、株主の権利を平気で無視するところも多く、長期的な投資家が安心して株式を購入できる状況にないことも事実だ。このためせっかっく株高になっても、ごく一部の富裕層だけが消費をして終わってしまい、後が続かないのだ。
 株価上昇が7時のニュースのトップで取り上げられ、キャスターが「みなさんの年金はこれだけ増加します」と報じている米国とは雲泥の差だ。

 これまでも株高の局面では、富裕層の消費増加が見られたが、それが一巡してしまうと、消費はもとに戻ってしまった。今回の株高が最終的に庶民の生活を潤すことになるのかはまだ分らないが、銀行偏重、大企業の従業員優先の金融政策を続け、株主を軽視してきたツケはこのようなところにも回ってくるのだ。

 - 経済

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