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株価暴落と現金退蔵問題にも関わらず、Appleの株主総会が平穏だったワケとは?

 

 大幅な株価の下落と12兆円にも達する現金の保有で市場の関心を集めていた米Appleの株主総会が2月27日、カリフォルニア州で開催された。
 同社のティム・クック最高経営責任者は「株価の下落には私も不満を持っている」と述べ、株価下落に不満を募らせる投資家への配慮をにじませたが、「長期戦略の遂行に全力を傾けている」として、現金還元などの具体策には言及しなかった(本誌記事「アップルが株主への現金還元を検討。日本経済再生のヒントがここにある!」参照)。

 同社に対しては、米国の著名ヘッジファンド「グリーンライトキャピタル」のデビッド・アイホーン氏が「資金を投資家に還元すべき」だとして、株主総会の議案に反対するよう投資家に呼びかけていた。また同氏は一部の議案について訴訟を起こし、勝訴しているため、該当する議案は株主総会で提案されなかった。

 同氏を含めて、現金による還元を求めていた株主からの要求については、Apple側からははっきりとした対応は示されず、今後の製品戦略によって株主価値を高めていくという内容にとどまった。
 ただし、総会自体は大きな波乱もなく終了し、株主は8名の取締役全員を再選した。また市場で噂されている株式分割についても言及はなかった。

 事前の予想と異なり、思いのほかスムーズに株主総会を終えた背景には、投資家層の入れ替わりがあるといわれている。
 同社はこれまで成長銘柄の象徴とされ、積極的な投資家が株を購入してきた。同社の業績は絶好調だが、市場関係者の多くは、これまでのように驚異的な水準で成長する時代は終わったと見ている。今後のAppleは、フツーの「超優良企業」になるというわけだ。
 現在の株価水準は高値から4割近く下落しており、配当利回りは2.5%程度とかなり高くなっている。日本企業でこのレベルの配当と時価総額を維持できる企業は1社もない。すでに高配当安定銘柄のような状況であり、同社に投資する投資家の多くは、急成長よりも安定成長を望んでいる可能性が高い。

 クックCEOは「新分野を検討している」と述べ、既存商品とは異なる新製品を投入する意向を表明した。詳細は明らかにはなっていないが、腕時計型の端末や次世代テレビが計画されているといわれる。新製品の展開がそこそこ順調で、現在の配当を維持することができれば、同社の株価は底堅く推移することになるのかもしれない。

 - 経済, IT・科学

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