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金正恩氏とバスケ観戦をしたロッドマン元選手の前にコカコーラが置いてあったワケ

 

 北朝鮮の金正恩第1書記は28日、平壌市内の体育館において、北朝鮮を訪問中の全米プロバスケットボール(NBA)の元スター選手、デニス・ロッドマン氏とバスケットボールの試合を観戦した。金第1書記は李雪主夫人と共に体育館に姿を見せ、ロッドマン氏と試合を観戦した。また夕食会にもロッドマン氏を招待し、国賓待遇としてもてなしたという。

 ロッドマン氏は米TV局の番組制作のために北朝鮮入りしたとされる。米国務省は「私的な渡航であり、米政府としてはロッドマン氏にコンタクトを取ることはない」と不快感を表明しているが、一方で「ロッドマン氏から連絡があればその限りではない」とし、ロッドマン氏と情報交換する可能性に含みを残している。

 現状では民間人による勝手な渡航というわけだが、当然ワシントンではそのように受け止めていない人も大勢いる。かつてニクソン大統領が電撃的な訪中を行った際には、卓球選手によるスポーツ交流があり、ニクソン訪中の地ならしとなった過去があるからだ。

 核実験の強行で対立が深まっているように見える米朝関係だが、水面下で電撃的な和解を模索する動きが進められているという噂は根強い。ロッドマン氏の訪朝がニクソン時代における卓球と同じ役割を果たしているというわけだ(本誌記事「NBAの著名選手が北朝鮮を訪問。かつてのピンポン外交の復活か?」参照)。

 この話をさらにリアルにしているのは、公開された試合観戦の写真である。金正恩氏と共に試合を観戦するロッドマン氏の前には、目立つようにコカコーラの缶が置かれていた。ニクソン訪中の地ならしとなった卓球試合の会場にはペプシの旗が翻っていたことを連想させる。ペプシコは米中国交回復後の中国進出を狙い、ニクソン氏を水面下で支援していたのである。
 ペプシコは伝統的に共和党に近く(ニクソン元大統領は共和党)、コカコーラ社は民主党に近い。民主党のオバマ政権下で北朝鮮の市場開放が進めばコカコーラ社はメリットを享受できる可能性が高い。
 ちなみに ロッドマン氏の隣で観戦していたのは、朴明哲朝鮮オリンピック委員長(力道山の娘婿)である。また、米国とのパイプ役として知られ、6カ国協議の北朝鮮側代表を務めた金桂寛外務次官も同席していた。

 米朝和解と北朝鮮の市場開放が実際に交渉されているのかは、ほんとうのところよくわからない。だが米中の国交回復がそのようにして始まったというのは歴史的事実である。米国はこうした二重外交をすることに躊躇しない国であり、日本人はそのことをよく理解しておく必要があるだろう。

 - 政治, 経済

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