ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

歴史は繰り返す!皇太子さまへの退位要求と転落の昭和史の類似性

 

 月刊誌新潮45に掲載された皇太子さまに退位を迫る論文が波紋を呼んでいる。論文を執筆したのは、皇室典範に関する有識者会議のメンバーでもあった宗教学者の山折哲雄氏。「このまま雅子さまが皇太子妃としての役目を果たせないのなら、ご退位もやむを得ないのでは」と退位を促す内容となっている。

 近年、皇太子さまが十分に公務に専念できない状況が続いていることや、皇太子さまご一家に男子の皇族がいないことなどから、皇太子さまの皇位継承に関する議論が目立つようになってきた。
 議論の内容の是非はともかくとして、皇位継承に関するこのような議論が出てくることは、日本が方向性を失い、転落への道を歩み始めていることを暗示しているのかもしれない。少なくとも昭和の歴史はそれを物語っている。

 亡くなった昭和天皇には秩父宮殿下という1歳違いの弟がいた。昭和天皇は学究肌で寡黙だったのに対して秩父宮殿下はスポーツマンで闊達な雰囲気を持っていた(秩父宮ラグビー場はスポーツ好きの殿下にちなんで命名された)。このため、秩父宮の国民からの人気は高かった。
 そんな秩父宮の存在が皇室を揺るがす大事件のきっかけとなったのは昭和11年(1936年)に発生した2.26事件である。クーデターの首謀者であった反乱将校やそれを画策する高級幹部の一部が秩父宮を天皇に擁立しようとしたといわれている。クーデターは鎮圧されたため、この事件の真相は結局謎に包まれたままだ。

 しかも2.26事件で暗殺されたのは、現在のアベノミクスの原型ともいえる財政政策の責任者であった高橋是清元首相である。昭和恐慌によるデフレが極限に達し、日本は高橋是清の提唱するインフレ政策と公共投資によって何とか沈没を免れた。だがインフレの進行(日銀直接引き受けによる国債の乱発)で国民の生活は苦しくなり、日米関係、日中関係の悪化で日本は国際的にも追い詰められていた。

 2.26事件の発生と秩父宮擁立劇は、日本企業の弱体化、グローバルスタンダードへの反発、インフレ、外交上の孤立という、4重苦の中で発生した出来事である。強いイメージのある秩父宮を擁立することで、精神的な支えにしたいという潜在意識が働いていたと考えられる。
 当時の状況は、企業の国際競争力を失い、外交的にも孤立している現在の日本とあまりにも酷似している。結局、秩父宮擁立構想は歴史のifとなったが、2.26事件をきっかけに日本は一気に転落し、日中戦争、さらには太平洋戦争へと突き進んだ。しかも不気味なことに、昭和恐慌と前後して関東大震災も起こっているのだ。
 
 皇太子さまにたいする退位の要求が、現在の日本の国力低下や外交的な孤立状態に対して、何か精神的なものにすがりたいという日本国民の潜在意識から来るものなのだとしたら、それは非常に憂慮すべきことである。

 - 政治, 社会, 経済

  関連記事

tokyofukei001
日本人はもっとも市場メカニズムを信用していないが、富の再配分にも否定的

 日本人は先進国の中でもっとも市場メカニズムを信頼していないことが、米調査機関に …

tokyoelec
東京エレクトロンと米アプライドの「対等」な合併という真の意味は?

 半導体製造装置国内トップの東京エレクトロンと、世界シェアトップの米アプライドマ …

rakutenmikitani
三木谷氏率いる新経連の動きが活発に。しかし早くも「老人化」の雰囲気がチラホラ

 楽天の三木谷社長率いる新しい経済団体である新経連が動きを活発化させている。20 …

seigadai
韓国政府が若者の海外就職と海外起業を推奨。一部では「棄民政策」との声も

 韓国の朴槿恵次期大統領は11日、ソウルで開催されているグローバル就業博覧会を訪 …

ishiba
石破幹事長の出番がない!TPP参加は政府に一任で、反対派はいとも簡単に陥落。

 それなりの抵抗が予想されていた自民党のTPP反対陣営がいとも簡単に落城した。安 …

shukinpeibaeikyu
中台首脳が66年ぶりの歴史的会談へ。だが台湾総統選挙には逆効果?

 中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が2015年11月7日、シンガポールで会 …

fccbeikoku
米国で議論沸騰中の「ネットワーク中立性」って何だ?

 米連邦通信委員会(FCC)は2015年2月26日、インターネット回線を事実上の …

detacenta
米IT企業の株価に潮目の変化?クラウドが基幹システム分野にシフト

 米国IT企業の株価に質的変化が起きている。一部のIT企業の株価が7~9月期決算 …

shirakawae
インフレ目標を頑なに拒否する日銀。その主張に説得力がない本当のワケとは?

 日銀の白川総裁は12日都内で会見し、インフレターゲットの導入について「物価も賃 …

saitengai
中国の新駐米大使は駐日大使経験者。中国はいよいよ日米の分断作戦開始との噂

 中国政府は3月3日、前駐日大使の崔天凱外務次官を駐米大使に起用する人事を決めた …