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朴槿恵新政権が、未来創造科学省の設置に執拗にこだわるワケ

 

 発足したばかりの韓国・朴槿恵政権で、主要閣僚が就任できないという前代未聞の事態が発生している。未来創造科学省の新設を柱とする省庁再編案が野党の反対で国会を通過できないことが最大の要因。朴槿恵大統領は国民向けの談話を行い、「国政に深刻な停滞が生じている。憲政史上初めての事態だ」と野党に譲歩を求めた。

 未来創造科学省は、科学技術を基礎に、新産業を発掘し支援することを目的とした強大な政府組織。政権が目指す「国民幸福時代」を実現する中核として位置づけられている。
 未来創造科学相には、10代で米国に移住し、苦学の末ベンチャー企業を立ち上げ大成功した金鍾勲氏が内定していたが、韓国内のゴタゴタに嫌気が差し、就任辞退を表明してしまった。

 未来創造科学省の創設に、野党・民主統合党が反対しているのは、政府が放送の許認可権などを未来創造科学省に移管するとしているからだ。放送の監督は、現在、大統領直属組織が行っているが、野党も委員を推薦できる放送通信委員会が管理している。だがこれが未来創造科学省に移管されれば、政権による圧力がかかりやすくなると野党は懸念している。
 朴槿恵大統領は「政治的野心はない」としているが、政権側がメディア統制を強化しようとしているのは明白であり、今のところ野党側は譲歩する気配はない。

 韓国はサムスンや現代自動車に代表される巨大企業が躍進し、日本企業から次々シェアを奪ってきた。だが最近では中国やアジア企業のキャッチアップが激しく、韓国企業も劣勢に立たされることが多くなってきている。また経済構造が輸出企業に過度に依存しるため、韓国国民がなかなか豊かさを享受できないという問題がある。

 企業の競争力が弱体化し国力が低下してくると、国民の間に不安が広がり、官主導で技術開発を進めるという全体主義的な雰囲気が蔓延しやすくなる。国による産業支援が声高に叫ばれれている日本はまさにその状況下にあるといってよい。
 だがこういった官主導の技術開発は発展途上国でもない限り成功しないというのが、世界的なコンセンサスであり、日本の成長戦略もうまく機能しない可能性が高い。

 朴槿恵政権が、未来創造科学省の設置を強く求めているのは、韓国の成長がそろそろ限界に達しつつあることを如実に示している。またメディアを統制下に置こうとしているのは、日本と同様、政権側が世論に対して潜在的な恐怖心を抱いている証拠であり、政権担当者の自信の無さをあらわしている。

 朴槿恵政権の躓きは、韓国の近未来を暗示しているのかもしれない。

 - 政治

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