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中国で腐敗撲滅隊なる政治ショーが流行。だが「文革」を連想させる光景に不安の声も

 

 権力者の腐敗が社会問題化している中国で、腐敗撲滅隊と呼ばれる政治ショーがインターネットで人気を集めている。腐敗の象徴となる人物を後ろ手に縛って公開処刑するという冗談なのだが、その光景が、あの恐ろしい「文化大革命」に似ているということで、当時を知る人の中には、中国社会の先行きを不安視する人もいる。

 腐敗撲滅隊が「公開処刑」したのは、ホストと愛人と称する二名。二人は後ろ手に縛られ、それぞれ「二奶」(中国で愛人の意)、「牛郎」(中国でホストの意)と書かれたパネルを首から下げている。また二人は三角帽をかぶせられている。

 実は後ろ手に縛り、三角帽をかぶせ、首からパネルをぶら下げるというのは、1960年代後半から70年代前半にかけて中国で起こった「文化大革命(文革)」でよく見られた光景なのだ。当時はパネルには「反革命」の文字が書かれていた。文化大革命では推定で数百万人(1千万以上という推定もある)が、拷問などで死亡したといわれている。

 文化大革命の首謀者は当時の毛沢東首席である。当時は、中国が少しずつ豊かになり、今でいうことろの改革開放路線と民主化の動きが出始めた頃であった。改革路線を否定する毛沢東氏は政治的に劣勢になりかかっていた。この状況を打開するために画策したのが、文化大革命である。

 当時、共産党幹部の特権や腐敗に反感を持っていた労働者や学生をウラで扇動し、庶民の生活が苦しいのは、資本主義化や自由化を進めようとしている一部の党幹部のせいであると喧伝、暴動を起こさせた。毛沢東の支持を得た学生や労働者は、全国で破壊活動を実施。資本主義的とみなした人物を次々に拘束し、後ろ手に縛って三角帽をかぶせ、公開の場で糾弾した。

 毛沢東氏の最大の政敵であった劉少奇国家主席の屋敷にも学生らが乱入したが、反革命のレッテルを貼られることを恐れた警察官は学生らを黙認。劉氏は拷問され治療も施されないまま死亡した。
 毛沢東氏は改革派を一掃するという政治目的を達成したものの、今度は学生らの統制がきかなくなるという問題に直面した。結局、毛沢東氏は自らが扇動した学生らも、次々と反革命罪で投獄することになる。その後も混乱が続いたが、毛沢東氏の死去によってようやく文革は終了した。

 現在の中国は当時とは状況が異なっている。だが、保守路線と改革路線の対立、豊かになれない人の不満、党幹部の不正など、基本的な社会構造は当時と同じである。
 毛沢東氏のように、庶民の不満を政治的に利用する人が出てくると、中国は再び「文革」という悪夢を見ることにもなりかねないのだ。

 - 政治, 社会

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