ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

サムスンがシャープに100億出資。シャープもゾンビ企業への第一歩を踏み出したか?

 

 経営再建中のシャープは6日、韓国サムスン電子(サムスン電子の日本法人)との資本・業務提携を発表した。シャープが実施する第三者割当増資をサムスンが103億円で引き受ける。シャープはサムスンに対し、大型テレビの液晶パネルのほか、ノートパソコン向け中小型液晶パネルを供給する。

 シャープはこれまで台湾の鴻海精密工業との資本・業務提携を前提に再建計画を進める予定であった。だがシャープ経営陣が鴻海からの経営介入を嫌ったことから交渉が難航し、鴻海との提携は中断していた(本誌記事「シャープが年度内の中期経営計画を策定。ホンハイとの提携は完全に流れたか?」参照)。

 シャープは現在、金融機関に対して7000億円近くの負債を抱えている。また今年9月に2000億円のCB(転換社債)償還を控えており、増資か追加融資でCB償還資金を手当てする必要がある。当初は鴻海との資本提携により液晶パネルの生産を増大させるというシナリオで金融機関は追加支援を行う算段だった。

 鴻海との提携がなくなったことで、次のシナリオが必要となったわけだが、金融機関としては、すでに後には引けない状況となっている。もはや現段階では、確実に再建ができるシナリオよりも、追加支援を正当化するための著名な提携先を探す方が優先している可能性がある。その意味でサムソスンはビックネームであり、シャープ経営や金融機関としてはうってつけの存在かもしれない。

 サムスンからの出資はわずか100億円で、しかもサムスン本体からではなく、日本の現地法人による出資だ。また提携内容も、大量供給が見込めるアップル向けの製品ではなく、テレビやノートパソコン向けのパネル供給となっている。サムスン本体がシャープを傘下に収めるような話になると、最大顧客であるアップル社との関係が悪化する可能性もある。現段階でサムスンが本格的にシャープと組むと判断するのは早計だろう。

 だが日本側から見れば、サムスンというビックネームとの提携が形式的には成立したわけであり、金融機関は追加融資しやすくなる。また公募増資を行う噂も出ているが、引き受ける証券会社もサムスンの名前を出せば株を売りやすいかもしれない。
 シャープの本格的な経営再建や日本の産業競争力回復という意味では、競合メーカーとの資本提携はむしろ逆効果である。だが、シャープの単純な延命や経営陣の保身という点では、皮肉なことに今回の提携によって一歩前進した可能性がある。シャープもとうとうゾンビ企業への道を歩み始めたのかもしれない。

 - 経済

  関連記事

winefund
国内唯一のワインファンド会社が破産。投資家には虚偽報告の可能性

 ワイン投資ファンドを運営する株式会社ヴァンネットが東京地裁に自己破産を申請した …

kaisatu
イマドキの新社会人の価値観は、実はバブル世代上司とそっくり

 人並みに働けば十分と考える新入社員が過去最高水準になったことが、日本生産性本部 …

Mario Draghi
欧州中央銀行がとうとう時間軸政策を採用。FRBや日銀と同じスタンスに

 小康状態が続いていた欧州経済に再び動揺が走っている。これまで5%台で推移してい …

amari
まるで大政翼賛会?閣僚が名指しで企業の賃上げに言及。賃上げは本当に正しいのか?

 甘利経済再生相は5日、コンビニエンスストア大手が相次いで賃上げを表明したことを …

airasiajapan
エアアジアが今度は楽天と組んで日本に再参入。だがガラパゴスの打破は難しそう

 アジア最大の格安航空会社(LCC)であるエアアジアが再び日本市場に参入する。全 …

no image
インサイダー疑惑で露呈した証券会社の下半身接待。なぜ増えているのか?

 証券会社による一連のインサイダー取引疑惑によって、証券業界の下半身接待の実態が …

shacho
日本企業の役員報酬は果たして高いのか安いのか?

 東京商工リサーチは2016年6月29日、2016年3月期において1億円以上の役 …

ieren03
6月のFOMC、年内利上げは変わらずも時期は明言せず。不安要因は過度なドル高

 FRB(連邦準備制度理事会)は2015年6月17日、FOMC(連邦公開市場委員 …

tissue
円安で値上げが続々。だが実際にはデフレ下でも値上げは進んでいた

 急激に進んだ円安を背景に、製品やサービスの値上げが相次いでいる。製紙大手各社が …

beerneage
ビールの店頭価格が上昇。背景にあるのは政府による安値販売の規制

 このところビールの店頭価格が上昇している。昨年の法改正によってビールの安値販売 …