ニュースの教科書

ジャーナリストが記事にできないホンネやつぶやきを集めた脱力系ニュースサイト

黒田新総裁は実はインフレ課税を狙っている?刺激的な英経済紙のコラムが話題に

 

 日本のインフレ課税の可能性について指摘したエコノミスト誌のコラムが市場関係者の間で話題になっている。
 コラムでは黒田日銀新総裁が、日銀の力だけで達成できると考えていることや、岩田副総裁など急進的なメンバーが揃ったことで、2%の物価目標を超えるインフレを日銀が引き起こすことが可能と指摘している。推奨はしないとしながらも、その政策はまさにインフレ課税であり、日本の政府債務を削減できるものであるとしている。

 インフレ課税とは人為的にインフレを起こして、増税と同じ効果を得ようとする政策のことである。例えば政府が国債によって国民から1兆円の借金をしていると仮定する。もしインフレが起こって物価が5倍になれば政府の歳入も5倍になる(ただし歳出も5倍になるので実質は変わらない)。
 だが借金は1兆円のままで変化しない。物価が5倍になっていれば、返済の期限が来た日には実質的に借金は5分の1に減っていることになる。増税しなくても、政府の借入をチャラにできるので、実質的には増税と同じ効果になる。これをインフレ課税と呼ぶ。

 インフレ課税が行われると損をするのは国債を買っていた投資家である。物価が5倍になったとしても、100万円で投資したものは100万円しか返ってこない。400万円分、政府に税金を納めたのと同じことになってしまう。

 インフレ課税は知らない間に投資家が損をして税金を徴収できるシステムである。増税は国民から強い反発があるので、為政者はインフレ課税を実施したい誘惑に駆られる。歴史上何度もインフレ課税が行われ、場合によってはインフレが行き過ぎて国家が破たんしてきた。

 その点、財務省はほとんどがガチガチの財政均衡論者であり、財政支出のバランスは増税でカバーすべきと頑なに考えている。だが同じ財務省出身者といっても、主計局を中心とした保守本流を歩んでいない黒田氏(主税局と国際局)であれば、ひょっとするとインフレ課税を考えているかもしれない。少なくとも思考実験としては面白い話である。

 コラムでも指摘されている通り、インフレ課税が成功すれば、政府債務は激減し、財政は一気に好転する。一方で、取り返しのつかない結果をもたらす可能性もある。最大のリスクは、インフレが制御不能になり、円が暴落、資産逃避が起きるというシナリオである。

 - 政治, 経済

  関連記事

gekyutoki
GEが家電部門を売却交渉。金融部門の分離に続いて、インフラ事業への集中が加速

 スウェーデンに本社を置く、欧州の家電大手エレクトロラックスは2014年8月14 …

bukkajoushou
デフレ脱却が鮮明になってきた7月の消費者物価指数。だが内実は輸入インフレ?

 総務省は8月30日、7月の全国の消費者物価指数を発表した。代表的な指標である「 …

barroso
米とEUが米欧FTAの交渉開始。これが出来上がるとTPPなど吹っ飛ぶ?

 米国と欧州連合(EU)は13日、米欧における自由貿易協定(FTA)の交渉を開始 …

venetian
世界のカジノ王が日本に1兆円投資の用意?白熱化する日本カジノ構想

 世界最大級のカジノ運営会社ラスベガス・サンズは2014年2月24日、日本でのカ …

arumikoujou
世界景気のバロメータ、アルコアが黒字転換。世界の工業製品需要は堅調?

 アルミニウム大手のアルコアが黒字転換を果たした。同社の決算に対しては市場関係者 …

abe20141021b
消費低迷で高まる増税先送り論。だが現実には決断は困難?

 消費の低迷が顕著になってきたことから、消費税の10%増税に反対する声が高まって …

businessman04
営業マンも残業代ナシ?ホワイトカラーエグゼンプションに続いて裁量労働制の拡大へ

 働く時間を社員が柔軟に決めることができる裁量労働制の対象が広がる公算が高まって …

nichigin
日銀と政府の不毛な緩和論争の背後で、市場は動き始めている?

 日銀は30日、金融政策決定会合を開催し、国債などを買い入れる基金を11兆円増額 …

abeyosaniinkai201402
安倍政権が集団的自衛権に関する憲法解釈見直しを、昨年に引き続いて先送り

 集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の見直しについて、安倍政権が今国会中の閣議 …

no image
韓国大統領候補の税金ごまかし問題。だが韓国では当たり前?

 韓国の次期大統領選挙に立候補を表明した安哲秀(アン・チョルス)候補に金銭疑惑が …