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経常収支が3ヶ月連続赤字。最後の頼みは直接投資増加だが、円安という大敵が・・・

 

 財務省は3月8日、1月の国際収支を発表した。経常収支は3648億円の赤字で、経常赤字は3ヶ月連続。赤字幅も拡大している。ここ1年、貿易収支の赤字は完全に定着したが、このままでいくと、最終的な国の損益である経常収支も赤字に転落することになる。

 経常収支は外国との取引の最終的な結果(国の儲け)を示すもので、その内容は主に貿易・サービス収支と所得収支で構成されている。貿易・サービス収支はいわゆる輸出による儲けを示し、所得収支は海外に投資した資金の利子や配当収入が該当する。

 日本はこれまで工業製品を海外に輸出して利益を上げてきた(貿易黒字)。だが最近では、日本メーカーの国際競争力が低下したことや震災の影響でエネルギーの輸入が増えたことなどから貿易赤字が定着している(本誌記事「円安なのに輸出が増えない!Jカーブ効果というが本当なのか?」参照)。

 全体の収支である経常収支がトントンだったのは、貿易黒字で稼いだ外貨を海外に投資した分の利子収入(所得収支)があったからだ。だが貿易赤字の額が拡大してきていることで、所得収支を足してもトータルで赤字になるようになってきた。これがここ3ヶ月の経常赤字の正体である(本誌記事「経常収支が2カ月連続の赤字。とうとう日本が経常赤字国へ転落するサインか?」参照)。

 エネルギーの輸入が減少する見込みは少なく、日本の国際競争力がすぐに回復する可能性も低いため、このままでは完全に経常赤字体質になってしまう。これを回避するための唯一の手段が、海外への投資を加速することである。
 現在、海外への証券投資(外国債や外国株式などに運用目的で投資こと)残高は200兆円程度、直接投資(経営を目的とした出資など)残坂は100兆円ほどある。国内には資金が余っており、この資金を海外に投資して利益を上げれば経常収支の改善に寄与することになる。

 だが海外への直接投資はあまり伸びていない。1月の直接投資の額は8248億円と前年同月よりは増えているが、全体で見れば直接投資は円高にも関わらずあまり伸びていない。むしろリーマンショック前の方が活発であった。
 考えられる原因は、直接投資の多くが海外企業のM&Aではなく、日本メーカーの工場移転に伴う現地法人の設立だからである。国内では価格競争に耐えられないことからアジアなどに進出する動きはかなり以前から始まっており、すでに進出する可能性のある企業は進出し尽くしてしまった可能性が高い。
 海外の会社をM&Aで取得するという思い切った戦略を取る会社は少なく、工場の海外移転が一服してしまうと、直接投資も伸びなくなってしまったというわけである。

 経常赤字が定着すると、円安が進行してくる可能性がある。円安になってしまうと、海外企業の買収には不利になる。1ドルが100円を切っている今が、海外企業買収の最後のチャンスかもしれない。

 - 経済

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