著名ブロガーが海外ヘッジファンド積立サービスの会社に公開質問状
著名ブロガーの山本一郎氏は3月7日、海外ヘッジファンドに対する積立サービス「いつかはゆかし」を提供するアブラハム・プライベートバンク株式会社に対して公開質問状を送った。
海外のヘッジファンドを直接購入できるとうたっておきながら、実際には英国・マン島にある保健会社の積立サービスを販売する形になっており、宣伝内容と実態が異なるとしている。
また、月5万円の積立で30年間で1億円が貯められるとう同社の宣伝文句が誇大広告にあたるのではという指摘も行っている。
これまで何度か同社に問い合わせたが回答がなかったことから公開質問状に踏み切ったという。
同社はこれに対して「一部ブロガーによる悪質なデマに対して被害届の提出を検討している」という内容のリリースを発表しており、全面対決の構えだ。
山本一郎氏はハンドルネーム「切込隊長」として知られたブロガーで、掲示板サイト「2ちゃんねる」にも大きく関わった人物。最近では山本一郎の名前でブログ活動を行っている。
一方、アブラハム・プライベートバンク株式会社は、富裕層向けマーケティング会社であるアブラハム・グループ・ホールディングス株式会社の100%子会社。同社グループは三井物産出身の高岡壮一郎氏が2005年に創業したベンチャー企業。金融資産1億円以上の富裕層限定会員組織「ゆかし」を運営するほか、富裕層情報サイト「ゆかしメディア」の運営や海外のヘッジファンドに対する投資助言サービスを行っている。同社には国内の有力ベンチャーキャピタルも出資している。
同社は、2000年代半ばの富裕層ブームを背景に創業。1億円以上の資産家が集まるという会員組織「ゆかし」はマスメディアでも取り上げられちょっとした話題となった。最近は、日本の将来性に対する不安から海外の投資機会を探る人が増えてきており、同社の海外ファンド投資助言サービスは人気を集めているという。
昨年末から円安への転換が進み、海外への資金流出も懸念される状況となってきた。このようなタイミングでの山本氏の行動は、ブロガーとしては非常に絶妙といえるだろう。だがアブラハム社は金融関係者の中では知られているが、一般への知名度はまだそれほど高くない。話題性としては今一つといった感じもする。
山本氏の単なる売名行為に終わるのか、アブラハム社の商品に関する問題点が浮かび上がり一種の社会問題となるのか、ネットの住民と金融関係者の一部はひそかに注目している。
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