中国投資家がNYのGMビル取得。ロックフェラーセンターで大失敗した三菱とは大違い?
中国の不動産開発大手、SOHO中国の経営者親族が、ニューヨーク・マンハッタンにあるゼネラル・モーターズ (GM)ビルの取得するための交渉に乗り出していると、米紙ウォールストリート・ジャーナルが報じている。
GMビルはニューヨーク5番街、59丁目という超一等地にあり、米国でもっとも高額な不動産のひとつといわれている。竣工は1968年で50階建て。アップルストアの基幹店が入居していることでも有名。
今回の交渉がまとまれば、34億ドル(約3200億円)の取引となり、不動産取引としては最大級になる見込み。
米国はリーマンショックで不動産価格が暴落したが、ニューヨークなど主要都市の大型ビルに対する需要は大きく、むしろ価格は上昇している。
GMビルは2003年9月には14億ドルだったが、リーマンショック直前の2008年6月には28億ドルで取引された。今回はそれを上回る34億ドルであり、リーマンショックの影響はまったく感じられない。
ニューヨークの著名ビルは、常に経済力のある国の投資家が購入してきた歴史がある。バブル経済真っ盛りの1989年には日本の三菱地所がロックフェラーセンターを2200億円で買収した。ロックフェラーセンターは米国の象徴ともいわれたビルだったことから、米国の一部から激しい反発を買った。結局不動産バブルの崩壊で三菱地所は半額以下で売却し、大きな損失を被った。
米国経済は現在順調に回復しており、不動産価格の高騰も予想されている。一部では今回の買収について価格が高すぎるという指摘も出ているようだが、少なくとも三菱のロックフェラーセンター買収に比べれば、絶妙なタイミングでの取得と考えられる。
ちなみに今回の取引の売り手の中には、カタールとクウェートの政府系ファンド、ドバイの王族などが含まれているという。
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