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内定辞退者が増加という報道。学生の就活は本当に昔と違うのか?

 

 神奈川県庁の内定辞退者が5年連続で3割を超えたというニュースをきっかけに、内定辞退者の増加が話題となっている(写真はイメージ)。

 神奈川県では、4月に入庁する神奈川県職員1種試験の合格者234人のうち、3割が内定を辞退した。背景には就職活動をする学生による掛け持ち受験の増加があるといわれる。
 その理由としては、リーマンショック後に内定取り消しを行う企業が続出したことや、本命企業の前にお試しで選考に参加することが常態化していることなどがあるという。

 こういった事例をもとに、最近の就職活動の特異性や学生の傾向などについて様々な議論が出ているが、多くのケースでピントがずれている。

 ここ10年近く、日本経済の低迷を受けて就職難が続いているのは事実である。だが就職を希望する学生の傾向が大きく変わっているわけではない。マスメディアなどで語られている「最近の学生は云々・・」という話題は、多くの場合年配社員によるイメージに過ぎない。

 まず、日本における学生の就職人気ランキングは驚くほど変わっていないという事実がある。バブル期も今も、学生には歴史のある有名大企業が圧倒的に人気となっており、ベンチャー企業や外資系企業を希望する学生はいつの世も少数派である。
 また複数の企業をかけ持ちする学生も昔から大量に存在している。特に売り手市場と呼ばれたバブル期から90年代前半にかけては、内定辞退が相次ぎ、企業の人事担当者は頭を抱えていた。ある証券会社では、内定を辞退され頭に血が上った人事担当者が学生にカツ丼をブッ掛けたという話がまことしやかに語られていた。
 「最近は就職難だから内定辞退などあり得ないだろう」というのは年配者の勝手な想像であって、いつの世も学生は、なるだけ自身の希望に近い企業を望んでいるのだ。

 以前と異なっているのは、大学卒採用枠に対する学生の数である。バブル期の1985年には大学数はわずか460しかなかったが、現在では800近くまで増加している。人口はむしろ減少しているので、大学に入る人の割合が増加したことになる。
 企業側は幹部候補生として総合職、それ以外を事務職といった形で職種別採用を行っている。一般に幹部候補生は大卒者を対象としている。企業において必要とされる総合職の数は増えていないのに、大学を卒業する学生の数は倍増し、そのほとんどが総合職を希望する。競争率が上がるのは当たり前である。

 企業の採用枠に対して志望者が倍増していること、学生の嗜好は昔それほど変わっていないこと、この2つの事実をもとに議論しないと、就職難の問題について正しい結論を得ることはできないだろう。

 - 社会, 経済

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