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安倍首相が東京裁判の内容を疑問視する発言。正論なのだが何が問題なのか?

 

 安倍首相は12日の衆院予算委員会において、太平洋戦争のA級戦犯を裁いたいわゆる東京裁判について言及し「日本人自身の手でなく、連合国側の勝者の判断によって断罪がなされた」と述べ、その内容について疑問視する見方を示した。

 東京裁判(極東国際軍事裁判)では、東条英機元首相をはじめとする当時の戦争指導者28名が起訴され、病死した松岡洋介元外相など3名を除く25名に有罪判決が下った。

 東条英機元首相や板垣征四郎元陸軍大将など7名は死刑となり、絞首刑が執行されている。
 ちなみに安倍首相の祖父で安倍首相が尊敬している岸信介元首相もA級戦犯容疑で逮捕されたが、不起訴となり裁判を免れている。

 東京裁判は単なる米国の軍事法廷でしかなく、しかも罪刑法定主義を無視した事後法の遡及適用であり、恣意的な裁判であることは明白である。

 だが、そうだとしても安倍首相の東京裁判を疑問視する発言はかなり問題である。

 そもそも日本の戦争指導者がこのような不当な裁判にかけられることになったのは、勝つ見込みのない太平洋戦争を自ら引き起こし、完膚なきまでに敗北したことが原因である。また日本は当時の明治憲法下ではもちろんのこと、現在の憲法下でも、事後遡及的な訴追を行っており、欧米からは基本的人権が保障されている国とはみなされていない。

 冷酷なパワーゲームが支配する国際社会において全面戦争に敗北すればどのような結果が待っているのかは子供でも分かる。しかも、日本自身が人権を守っていない中で、裁判の正当性を疑問してみたところで、まったくのナンセンスである。

 しかも近年の日本は競争を忌避し構造改革を怠ったことで、国際的な地位を劇的に低下させている。例えは悪いが、弱いガキが吠えたところで、一喝されておしまいというのが、偽らざる現実なのである。
 日本と同様、戦争犯罪で裁かれたドイツは、政治的にも経済的にも世界のリーダーとなっており、かつての戦争犯罪についてドイツにイチャモンを付ける国は皆無である。

 昔も今も米国は圧倒的な軍事力を持つ超大国である。民主国家同士は原理的に戦争ができないことになっているが、米国は一旦相手国を非民主国家とみなせば、非人道的なことでも躊躇なく実施する国だ(イラクやアフガニスタンを見ればそれは明らか)。しかも現代の戦争はその国が持つ経済力にすべて依存してしまう。経済力のない国は最初から戦争に敗北していることと同じなのである。
 日本は世界でただひとつ、核攻撃を現実に実行された国であることを忘れてはならない。恣意的な東京裁判史観に対抗するためには、圧倒的な経済力を持つ以外に方法はない。

 - 政治

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