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中国がバチカンに台湾との断交をあらためて要求。なぜ両者は対立しているのか?

 

 ローマ法王庁(バチカン)と断交状態にある中国政府は、新しくローマ法王に就任したフランシスコ1世に祝意を示す一方で、台湾とバチカンの関係を断絶するよう求めた。

 中国外交部(外務省)の華春瑩報道官は「ローマ法王庁が中国と向き合い、ともに努力して関係改善のための 条件を作り上げることを望む。基本原則には何の変化もない」と述べた。
 中国側の主張する基本原則とは、台湾と断交すること、バチカンによる中国司教の任命を認めないことの2つである。

 バチカンは欧州で唯一、中国を国家として認めておらず、現在も台湾を正式な中国として扱っている。
 中国政府はバチカンが任命する司教を認めておらず、中国寄りの独自の司教を任命している。また中国の一人っ子政策に対してバチカンは激しく反発しており、両者の溝は埋まっていない。

 バチカンが中国に対して厳しい姿勢を崩していないのは、中国側に宗教団体に対する強い警戒心があり、宗教団体を党と政府のコントロール下に置くことを譲らないからだ。
 中国は歴史的に、宗教活動が体制転覆のきっかけとなることが多かった。1850年にはプロテスタント系の新興宗教である太平天国が反乱を起こし、一時は南京を占領する事態となった。また1900年に発生した義和団事件は中国の半植民地化と日露戦争のきっかけにもなったが、そもそも義和団事件はカトリック信者の急激な拡大に対する反発がベースとなったものだ。

 中国は宗教を否定する共産主義国家だが、イデオロギー的な側面よりも体制維持の観点から宗教に対して強い警戒心を抱いている。気功を軸にした半宗教団体である法輪功を徹底弾圧したり、チベットに圧政を加えるのも同じ理由からだ。

 一方バチカン側もいたって政治的だ。カトリック信者が保護され、信者拡大にプラスと判断すれば、政府の圧政を黙認することもある。
 260代ローマ法王であったピウス12世は、法王就任前の国務長官時代、他国がナチスドイツに対して躊躇する中、ドイツとの政教条約締結を積極的に進めた。これによってドイツのカトリック教会は拡大したが、結果的にナチスに対してお墨付けを与えることになり、ユダヤ人大虐殺にもつながったと批判されている。
 新法王フランシスコ1世の母国であるアルゼンチンでも長く軍事独裁政権が続いてきたが、信者拡大というメリットがあるカトリック教会は、特に何の行動も起こしていない。
 だが現在の中国は、バチカンにとってはまったく利益にならない政府ということのようである。このため、台湾との外交を継続し、中国との対立を続けている。

 本来、宗教権力と国家権力は水と油である。中国とバチカンの対立からは、グローバル経済の名のもとに現在では水面下に潜ってしまった、国家と宗教の権力闘争という側面を垣間見ることができる。

 - 政治, 社会

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