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政府が石炭火力の増設に政策転換。今まで日本が世界からダマされていことが明らかに

 

 政府はこれまでの方針を見直し、石炭火力発電の新増設の推進にかじを切る。日本経済新聞が報じている。

 日本は、原発事故後、エネルギー輸入が急増し、電気料金の値上げが相次いでいる。また貿易収支も急激に悪化し、貿易赤字体質が定着するようになってしまった。これまで政府はCO2の排出量が多い石炭の活用には消極的だったが、現実問題を目の前にして政策を転換することになった。

 石炭火力を増設するには、環境影響評価(アセスメント)の存在が障壁となるが、この手法を見直しCO2の排出量に明確な基準を設けることで、基準をクリアしやすくする。また石炭火力の新増設に慎重 だった環境省も姿勢を転換し、環境負荷を小さくする技術開発に力を入れるという。要するに基準を甘くするという話である。

 燃料費の高騰という金銭的問題から、背に腹は代えられぬということらしいが、実は石炭火力に消極的だったのは世界でも日本だけというのが実態であり、今回の措置は日本もようやく普通の国になるというだけのことに過ぎない。

 近年、CO2は地球温暖化の原因であるとして、国際的にその排出を制限する枠組みが作られてきた。日本は格好のターゲットとなり、先進国では一人当たりのエネルギー消費量がもっとも少ないにも関わらず、高い目標を掲げさせられてきた。というよりも日本政府が自ら高い目標を掲げ、議論をリードしてきたという方が正しい。
 だが欧州や米国では現在でも石炭が主要なエネルギー源のひとつである。発電や暖房の熱源として石炭をほとんど使っていないのは日本くらいなものだ(世界の発電量の約4割が石炭によるもの)。
 諸外国はCO2の削減を声高に叫びながら、自分たちは石炭の使用を決して止めなかった。タテマエを額面通り受け取り、安価な燃料である石炭を放棄したのは日本だけなのである。だがその日本も、目先のお金という問題にはガマンができず、とうとう石炭に手を出したというワケだ。

 日本と諸外国ではエネルギーに対する基本的な考え方が異なっている。欧州や米国では、冬場において常に温水が供給されないことや、暖房が不十分なことは重大な人権侵害と認識される。それは、アパートの大家が冬場に住人に対して十分な水準の暖房を供給しないと法律で処罰されるほど厳しいものである。節電と称して、うすら寒いオフィスや家で厚着をして我慢している日本とは、生活に対する考え方が根本的に違うのだ。

 欧米のCO2削減案は、この水準のエネルギー消費は当然の権利というところがスタート地点になっている。その中で、どの程度のCO2の削減ができるかというレベルの話でしかない。
 だが、いくらそれを批判したことろで何の解決にもならない。お人好しはカモられるのが国際社会の常識なのだ。

 - 政治, 経済

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