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パナソニックがテレビ事業を大幅縮小。だがこれで何屋さんか分らない状態に

 

 パナソニックがテレビ事業を大幅に縮小すると日本経済新聞などが報じている。同社は「当社が公表したものではない」とコメントしているが、テレビ事業からの撤退はほぼ確定路線と考えられる。

 同社は次世代TVの主役をプラズマ・ディスプレーと位置付け、多額の研究開発投資を行ってきた。
 当初は大型TVはプラズマ、中小型TVは液晶という棲み分けができると予想されていたが、液晶が予想以上の伸びを示しプラズマを駆逐してしまった。

 この結果、プラズマに依存しすぎた同社のTV事業は5期連続の赤字となり、同社の屋台骨を揺るがす結果となっている。
 同社はすでに薄型テレビ全体の生産を縮小しており、2010年度には2000万台を超えていた生産台数は1300万台程度にまで減少している。今回の決定によってプラズマ・ディスプレーからは名実ともに完全撤退となる可能性が高い(本誌記事「パナソニックが上海工場を閉鎖。ようやくプラズマから撤退を決断」参照)。残る液晶ディスプレーについても、パネルの外部調達に切り替える予定だ。

 赤字の元凶であったテレビ事業に手を付けることで、同社の出血は止められる可能性が出てきた。だが問題はこの先である。これまで同社は、選択と集中によって経営の立て直しを図る戦略を打ち出してきたが、テレビという主力事業を大幅縮小したことで、その基本戦略が崩れてしまうのだ。

 薄型テレビがなくなってしまうと、デジタル家電分野では主力と呼べる商品がなくなってしまう。またグループ全体としても、デジタル家電、白物家電、住宅設備、電子部品が同じ割合で並立する形となり「何屋さんなのかわからない状態」(証券アナリスト)となっている。

 これは多くの日本メーカーが直面している課題といえる。米国型経営をまねて選択と集中という耳に心地のよいキャッチフレーズを掲げたまではよかったが、選択と集中にはつきものの、厳しいリストラやリスクを回避してきた結果が、現在の同社の姿である。

 得意分野に特化せず、幅広く製品を取り扱う経営スタイルは、国内市場だけを対象とするならばうまく機能する可能性が高い。だがグローバル市場に打って出る場合には、弱い分野を抱えていては、すべての分野で敗北するという状態にもなりかねず極めて危険だ。グルーバル展開を本格化させるなら、弱い分野は容赦なく切り捨てる覚悟が必要となる。

 同社は3月決算終了後、今後の戦略を公表すると思われるが、縮小する国内市場と心中して現在の体制を維持するのか、それとも海外市場を狙って再度、選択と集中を試みるのか、市場関係者は注目している。現在の体制でグローバル展開を狙うという最悪のパターンにだけはならないことを祈りたい。

 - 経済

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