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地中海の小国キプロスでユーロ圏が事実上の財産没収を要求。なぜキプロスだけが?

 

 地中海の小国キプロスに激震が走った。ユーロ圏各国がキプロスに対する金融支援と引き換えに、同国の銀行預金者から強制的に預金額の約10%を徴収すると突然発表したからだ。

 3月15日に開催されたユー ロ圏財務省会合は、債務危機に陥ったキプロスに対して最大100億ユーロ(約1兆2500億円)の金融支援を実施することで合意したと発表した。だがその支援の条件には、銀行の預金者に対して最大9.9%の課徴金を徴収するという異例の措置が含まれていた。

 キプロスでは預金を下ろそうとATMに人が殺到したが、ATMは使用不能になっており、預金の引き出しができない状態だという。

 銀行預金者に負担を求めるという今回の措置は、ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、スペインといった過去の救済策にはなかったもの。財産に対する強制課税ともいうべき暴力的措置にキプロスの市民には怒りが渦巻いている。

 確かに今回の措置は財産権という基本的人権を侵害している可能性があり、下手をするとユーロ圏そのものに対する不信感を招きかねい。だがユーロ圏がキプロスに対してこのような暴力的な措置を発動した背景には、キプロスという国の独特の事情が大きく関係している。

 キプロスの金融機関における預金残高はGPDの5倍という途方もないレベルに達している(日本はGDPの2倍程度)。しかも預金者の半分以上が外国人だ。
 キプロスは英連邦に属しており税金が安く、租税回避地として機能してきた面がある。このため、ヨーロッパ中からいろいろな種類のお金が集まり、一時はマネーロンダリングが問題視されたこともあった。しかもキプロスの金融部門における運用先はギリシャ国債に大きく偏っている。
 要するに安い税金で欧州全体からお金を集め、リスクは高いが利回りのよい投資先に再投資しいる国ということなのである。しかもその元締めはEUへの参加条件で揉めている英国なのである。しかもトルコやシリアなどイスラム圏との関係も濃厚で、シリアに対する武器不正輸出の拠点になっているという噂もある。

 こういった事情から、強制的に10%を徴収しても、キプロスにおける多くの預金者は抗議できないだろうという読みがユーロ圏側にはある。

 だがキプロスの国民や英国系一般住民にとってはとんだとばっちりである。だがそこは欧州の冷酷な国際社会の現実がある。弱小の国は蹂躙されても文句は言えないということらしい。

 - 政治, 経済

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