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キプロス問題でとうとうロシアが介入か?小さな島をめぐって地政学上の策略が渦巻く

 

 金融危機に陥ったキプロスの支援策をめぐって、とうとうロシアが本格的に動き始めた。美しく温暖な地中海の小島は、欧州における地政学的駆け引きの場になりつつある。

 ことの発端は、3月15日に開催されたユー ロ圏財務省会合。債務危機に陥ったキプロスに対して最大100億ユーロ(約1兆2500億円)の金融支援を実施する代わりに、銀行の預金者に対して最大9.9%の課徴金を徴収するという異例の決定を行った。

 これに対してキプロス市民の怒りが爆発。銀行預金課税法案に対する議会の採決が行われたが、賛成ゼロ、反対36、棄権19、欠席1と圧倒的な反対多数で否決となった。

 キプロスに対するユーロ圏の対応は、これまで支援を行ってきたスペイン、ギリシャ、アイルランドなどとは全く異なっている。その理由は、キプロスが事実上のタックスヘブンだからだ。
 キプロスの金融機関における預金残高はGPDの5倍という巨額なもので、しかも預金者の半分以上が外国人(特にロシア人が多い)だ。お金の出所ははっきりしておらず、マネーロンダリングが問題視されたこともあった。このような特殊な事情があったことから、ユーロ圏側は預金からの強制没収という措置に踏み切ったと考えられる。

 これにすぐさま反応したのがロシアである。ロシアはキプロスの銀行に預金をしているロシア人の財産を保護するという名目で、キプロスを支配下に置こうと画策しているのだ。
 ロシアの国営天然ガス会社であるガスプロムは、キプロス沖の天然ガス資源の採掘権を担保に、金融支援を行うことを検討しているという。実はキプロスは資源国でもあり、天然ガスや石油資源が豊富である。ロシアはキプロスを影響下に置くことができれば、欧州における天然資源の権益とタックスヘブンという2つの果実を得ることが可能となる。
 しかもキプロスはシリアとも関係が深く、シリアに対する不正な武器輸出の拠点になっているともいわれる。ロシアは大国としては唯一、シリア政府と関係を維持している国だ。

 タックスヘブンに天然ガス権益、シリアへの武器輸出など、キプロス問題は、キナ臭い地政学的な勢力争いに発展しそうな状況となってきた。

 - 政治, 経済

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