中国の外交儀礼におけるルールはシンプル。どちらが格上でどちらが格下か!
何よりもメンツと格式。中国における外交儀礼の基本はこの2つだといわれる。中国の外交では相手との関係(特に上下関係)をどのように表現するのかが、極めて重要となる。どちらが先に訪問するのか、どの順番で会うのかといったところで、明確にランク付けが決まる。
これは民間企業でも同じなのだが、中国側に招待された時に、宿舎はどのランクのホテルなのか、レストランはどのランクのものなのか、誰がどの順番で会うのかを見れば、招待された側がどの程度重視されているのかがたちどことに分かるようになっている。
米国などではあえてフランクなスタイルでの接待というやり方があるが、中国人は愚直で正直なので、そのような変化球はない。常に直球勝負だ。
その意味で、習近平国家主席が最初の訪問先にロシアを選択したのは、儀礼上はロシアを最優先しているということを示している。
そもそも中国のトップが外国を訪問すること自体がそれほど多くない。中国は大国だという意識があるので、まず相手国からの訪問を受けるべきだと考えているからである。日本や米国に対しても、まずは相手国のトップが中国を訪問することを要求し、その後、中国トップが相手国を訪問するという立場を取る。ロシアは旧ソ連時代における関係があるので、例外的なケースといえる。
またテレビなどで注意深く見るとよく分かるが、中国の要人は自分よりも格下の人間と会う場合には、絶対に自分からは近づかない。例えば3月19日に米国のルー財務長官が習近平氏を訪問した際、ルー氏は歩み寄って握手をしたが、習氏は一歩も動かず、ルー氏が近くまで寄るのをずっと待っている。1月に公明と山口代表が習氏を訪ねた際も、習氏は一歩も動いていない。
中国は付き合いにくい国といわれているが、中国の外交儀礼は、非常にシンプルで嘘偽りがない。相手を重視していると思えば丁重に扱い、相手を見下していると思えば、躊躇なくぞんざいに扱う。ホンネと建前の区別が激しい日本よりも、ある意味で透明性が高いともいえるのだ。
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