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韓国の新政権が、民間から有能なトップを招へいできないワケ。

 

 韓国で民間から招へいした政権幹部が相次いで、就任を辞退するという状況になっている。背景にあるのは、現実を無視した公職者の倫理規定。一見、高潔さを求めるように見えて、実際には公務員の利権を保護する役割を果たしている。一連の騒動は日本人にとっても非常に参考になる。

 朴槿恵政権の目玉政策であった未来創造科学省は、3月に入ってようやく設立の目途が立ったが、当初の構想とは大きく異なるものになった。最大の誤算は人事で、本来であれば長官には、10代で米国に移住し、苦学の末ベンチャー企業を立ち上げ大成功した金鍾勲氏が就任するはずだった。

 だが米国の市民権を持つ金氏に対しては、長官としての適格性について疑問が出された。金氏は韓国内のゴタゴタに嫌気が差し、就任辞退を表明してしまったのである。
 米国は市民権を放棄すると財産に対して多額の税金がかかる。米国の市民権を放棄する金氏には100億円近くの税金が課税されるが、それも承知の上での長官就任受諾だったことを考えると、よほど韓国での扱いに嫌気がさしたものと思われる。

 金氏が創業した会社は通信技術を開発しており、米国の攻防総省などとの関係が深い。このため韓国では韓国の技術が金氏を通じて米国に流出するのではないか?との意見が相次いだ。
 だが冷静に考えてみれば誰でも分かることだが、むしろリスクがあるのは米国の方だ。韓国の技術を米国が欲しがる可能性は少ないが、韓国側は米国の軍事技術について喉から手が出るほど欲しいはずだ。100億円の税金まで支払って韓国に貢献しようとしたのにスパイ呼ばわりでは、金氏もやってられなかっただろう。

 また3月18日には、中小企業庁の長官に内定していた、韓国の著名ベンチャー企業家・黄喆周(ファン・チョルジュ)氏が長官職を辞退した。理由は韓国の公職者倫理規定。
 韓国では公職につく場合には、株式を保有している場合には、それをすべて60日以内に売却しなければならない。黄氏は自らが創業した会社の株式を大量に保有しており、これを突然売却すれば、市場は大混乱となってしまう。結局、長官就任を断念してしまった。

 株式を保有していると、その会社に有利になるように権限を行使するから、というのが理由のようだが、そんな問題は公職在任中は株式の議決権などを白紙委任したり、株式の売却を信託扱いにして制限したり、すべてを公開すればよいだけの話である。
 このような倫理規定は高潔さを求めているように見えて、実は特定の人に対する巨大な利権となっている。つまり、公務員として働いてきた人以外は、事実上、公職につけない仕組みとなっているのだ。

 また金氏の例にしても、外国の政府機関との人脈もまったくないような人間に、韓国の技術開発の未来がかかっている巨大官庁のトップなどが務まるはずがない。

 日本はここまでひどい状況ではないが、政府組織幹部の人選において、事実上、内部の公務員しか就任できないような風潮は根強い。

 米国は各国から優秀な頭脳を集め、母国に惜しげもなくその頭脳を返還している。米国が圧倒的な競争力を維持できる背景にはこのような人材に関する合理的な戦略がある。倫理的な議論は今でもあるが、例えばNASA(米国航空宇宙局)において国家の威信をかけた宇宙開発プロジェクトを指揮した責任者は、敵国ナチスドイツでミサイルを開発した科学者である。
 本当に強い国家を作りたいのであれば、韓国や日本は薄っぺらいナショナリズムを煽るのではなく、真摯に米国の姿勢に学ぶべきだ。

 - 政治, 経済, IT・科学

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